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【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。
みられる場所
現在、本の表紙やパンフレットなどで、最も目にする"世界遺産の白川郷"の写真は、"城山"からの眺めです。
しかし、1960年代頃まで、その"俯瞰景"の場所は、定まっていませんでした。
1970年代後半になると、村が"城山展望台"を整備するのですが、この整備をきっかけに、城山からの"有名な俯瞰景"の露出が増加したのでした。
また、この展望台のすぐ脇には、"城山天守閣"なる個人経営の"食堂"があり、"駐車場"と"食堂内の展望場所"を無料で開放しているため、続々と観光客が乗り付けては記念撮影をしていくそうです。
皮肉なことに。。村の整備した"展望台"には、あまり、立ち寄らないそうです。。
さて、この場所が"荻町城跡"であることは、前回、記述しましたが、史跡としての扱いは、どのようになっているのでしょうか?
残念なことにこの場所は、史跡としての価値を認められず、"世界遺産白川郷"の対象には含まれませんでした。
さらに、1990年代以降の資料の"ほとんど"が、"城山展望台"または"城山天守閣"から撮影した荻町の"俯瞰景"になっていて、その場所には昔"城"があった。
などという歴史には、一切触れなくなってしまったのでした。
このようなことがあり、かつて、史跡として"みられる場所"であった"荻町城跡"は、荻町の集落を"見る場所"へと反転してしまったのでした。
逆に"みられる場所"へと反転した荻町。それまで、白川村の集落のひとつにすぎなかった"荻町"が、世界遺産に向けて大きな一歩を踏み出すきっかけとなったのが、1976年。国の"重要伝統的建造物群保存地区"への選定です。
1950年代頃から街並み保存運動は各地で展開されていましたが、同じく"保存地区"に選定された"木曽路妻龍"に代表されるような、"街並み保存運動"は多くの場合、専門家主導ではなく、地元の活動から始まっていくようです。。
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