いつもありがとうございます。【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。

建物単体と地域まで含めた場合の保存方法

平成に入ってからの文化財に対する考え方はそれまでの、保存対象の建物"のみ"の調査と保存から保存対象の建物に"関係する地域"と"活用方法"まで含めた調査と保存に移行していきます。

ただ、このような変化があっても"文化財"と"保存"は、表裏一体であることに変わりはありません。

このため"保存"する場合、その対象を"いつの時点"まで戻して修復するのかが、とても大事になります。

これを怠ると、スペインの"キリスト画"や"聖人の彫刻"のように、

キリスト画の修復

聖人の彫刻の修復

 なってしまいます。。。

こんなことにならないように、慎重にヒトの手を加えていくのですが、保存対象が、建物"単体"の場合とその"集落、地域まで含めた"場合とでは、その方法に違いがあります。建物単体を対象とする場合は、今後の使い方などを検討しながら。。

というよりも、物理的な"痕跡調査"の結果に従って復原を行ないます。

一方、集落、地域までも含めて対象とした場合、今後の使い方などを検討する"計画的"な視点が必要不可欠になります。

なぜなら、合掌造りの集落などの場合、建物の周囲にある"田んぼや畑、風景"などとのさまざまな"関係性"を一体のものとしてまもる必要がでてくるからです。

つまり、生活様式"そのもの"ということです。

平成に入ってからもこの部分の修正がうまくいかず、現在でも、地区によって保存状態の精度に、ばらつきが出てしまっています。

平成以前の保存運動は、"町家"や"武家屋敷"が、ほとんどだったので"個々の建物の集合"、つまり"建造物群"として"外観の保存"などを軸に、保存方法を決定することもできますが、白川郷は数少ない"農村"だったため間取りまで含めた"生活様式"の保存として、発想を大きく転換しなければならなかったのです。。


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