いつもありがとうございます。【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。
変化するまち並み保存の視線
平成にはいると、町並み・街並み"とも"保存の考え方に変化が表れます。
"何を保存する"から"どのように保存する"へ。。
のように、保存対象、それ自体に"価値がある"とする考えから、"有効活用しながら、どうやって保存していくか"。といったように、保存対象の"活用計画"へと、視点が拡大されていったのでした。
余談ですが。。前者の保存方法では、対象を大事にしすぎて、せいぜい"鑑賞用"くらいでしか役に立たなくなってしまうのに対し、後者は、価値の"ありどころ"を明らかにしとかないと、価値ある部分を何らかの理由で破壊してしまう恐れもあり、より保存対象としての価値が、明確になるように思います。
さて、このような背景もあり、白川郷の合掌集落にも"活用計画"の視点が、持ち込まれていくことになります。
それでも当初は、まず、保存対象の合掌造りの建物に"実際に訪れ"、近年の"建物自体の変化"を分かる範囲で調査を行い、なぜ?変化したのかを"住人の生活"と"社会の状況"とに、照らし合わせることで、今後、合掌造りの住宅で生活をしながらも、どうしたら"保存"していけるのか。。といった"活用計画"を行っていたのでした。
このような方法は、戦前に多く見られた"採訪型"と言われる"民家研究"の一種で、歴史や民俗資料を調査収集するため、まず、実際に"生活している"お宅"を訪問し、調査許可をもらい"間取り"や"生活習慣"などを調査する方法のことです。
最終的には、調査内容を"歴史(建築史)"の"ものさし"にのせて、回答を導き出すといった感じです。
しかし、これら一連の作業は、大きく"歴史(建築史)"の流れに、合掌造りという民家の"形態"をのせて、価値を導き出すといったもので、あくまで"歴史(建築史)"の世界での価値だったのです。
つまり、"建築史"という"分厚い教科書"の中に"合掌造りの建物"という"項目"をつくるための作業ということです。
その後、この民家研究に、転換期が訪れることになり、その視線は、"地域そのモノ"へ向けられるようになっていくのでした。。。
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