いつもありがとうございます。必要の場をツクル設計事務所-長尾アトリエ の 長尾 です。

現在行っている、場所づくりの新たな試みは下記よりご覧になってみてください。

4つのモデリングコース

復興時の新たな課題

近年、頻繁に発生する自然災害の被災地では、ずっとその地域が抱えてきた課題が浮き彫りになっています。

その中のひとつに人口や世帯数の増減についての課題があります。

人口増加時での災害復興では、その地域の生活環境向上に貢献できましたが、一方で人口減少期に転じた現在では、未来の人口や世帯をきちんと見定めた上で、適切な規模での復興を進めていくことが必要となります。

単純に壊れた場所を元通りに直すだけではなく、その地域の未来に即した、生活再建が求められているということです。

人口減少社会

日本の全体的な人口減少は2006年から始まりましたが、実はそれ以前から地域によっては、減少が進んでいた地域もあります。

それは、高度成長期でも山間地域や漁村地域などで、都市部への人口流出が進み続けてきました。

これまで過疎対策として、様々な方法が実践されてきましたが、ほぼその効果はなく、人口が増加に転じることはありませんでした。

そのような過程を経て国全体としても人口が減少する状況となり、過疎対策に失敗してきた地域が得たひとつの解答が、再び人口増を模索するのではなく「たたむ」といった皮肉めいた結論にたどり着くことでした。

災害によって加速する過疎化

人口減少への転換期。

2004年に発生した新潟県中越地震からの復興では、村全体が孤立し、村外避難のため遠く離れた仮設住宅での避難生活をすることになった山古志村は最も特徴的です。

地震により地盤に被害が生じ、地域での交通が困難となりましたが、住宅の被害がそれほど大きくなかった集落では、避難指示解除後に約9割の世帯が戻ることができました。

一方、被害が大きく住宅再建を必要とする集落では、小規模集落再生事業による再建を進めたのですが、集落を離れる人も多く、世帯数が減少していました。

集落を離れることになった世帯は主に、職場や商業施設に近い市街地での再建を進め、開始から約10年後には、帰村した集落を含めた山古志村全体で、震災前から人口は半減し、世帯数は3分の2にまで落ち込みました。

この世帯数の減少に焦点をあてると、限界集落に見えなくはないですが、一方で集落を小規模に集約することは地域の機能も小規模になるため、地域で暮らしていく持続性は向上していると見ることができます。

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