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日常の復興

2004年の新潟県中越地震の復興は、1999年の台湾に大きな被害をもたらした921地震からの復興過程を参考にしたものでした。

台湾の921復興では、社区総体営造を基本的な取り組み姿勢としています。

社区というのは、英語のコミュニティという意味の中国語で、営造とは広義的に街づくりということです。

政策としては、社区総体営造と社区営造という2つの呼称があるようですが、前者が行政主導で文化的側面が強いのに対し、後者では民間主導で住民参加型化の側面が強いといった違いのようです。

いずれにしても、災害復興に取り組む際、コミュニティを基本としながら、文化・社会性や自発性など、総合的な街づくりを進めていくということです。

つまり、構造物などのハードの復旧については国が坦々と進め、仮の住宅に避難している人たちは、その地域で新たな経済活動を創造的に模索し、持続的に暮らしていける環境を整えながら復興に取り組むということです。

新潟県中越地震の地域復興は、台湾の921復興に学んだものでしたが、実は、この台湾での取り組みは、1995年の阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた神戸の復興過程に学んだもので、20世紀末から本格的に始めていたものだったのです。

神戸での取り組み

もともと神戸では、95年の震災の前から条例によって、街づくり協議会の設置・専門家の補助・行政の参加によって、密集市街地の環境整備を地域の状況に合せて取り組んでいました。

このため阪神・淡路大震災の復興を進める際にも、この枠組みが大きな役割を果たすことになっていました。

このような、住民が地域の特徴を見出す取り組みが台湾の風土にも適し、921地震復興にも適用されることになりました。

つまり、ただ壊れたモノを元通りに直すのではなく、暮らし自体を再生するために、地域コミュニテイや外部支援とともに行なうプロセスが採用されたということです。

必要なものモノは即座に直し、それと平行して改めて日常を創造的に再生する手法が、その都度模索しながらでも、様々な場面で求められていくと考えられます。

そしてこの手法は、もしかすると復興に限らず、人口減少に転じて久しいあらゆる地域に当てはまるのかもしれません。

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