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【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。
遺産保護の方法
20世紀末、イタリア"イブレア"は、"屋外建築博物館"という方法で、近代建築群の"保護活動"を始めました。つまり、
- 街全体が"博物館"で、
- 街に点在し、実際に使われている建築群が"コレクション"
ということです。
コレクションには、歴史や用途の"説明書"が必要なので。。保護活動調査隊(民間+行政)は、まず、文献、写真などから立地、設計者、工事許可日などを調べ、近代建築群の詳細な"遺産目録"の作成をすることとしました。
その際、とても重要だったのが、法律で、"近代"と"中世"の建築物群とが、"同格"で扱われるように、取り決めたことにあります。
つまり、欧州の都市部(パリなど)では、基本的に"新築を禁止"している場所が、多いことからも分かるように、当時(中世、近代)の価値を現代でも認識できるように、整理しておくことで、現代の街にも"必要な価値"を持続させることができる。。ということです。
このような活動により、オリベッティ社が関与した市内の"近代建築物"が約260件も存在していることが分かりました。
その一方で"課題"も見つかります。
倒産直前の20世紀末、オリベッティ社は、所有していた不動産の一部を"手放しました"。このことにより、"社宅"として住んでいた居住者が、"住宅"として買い取ったりと。。建築物の"一元管理"が、難しくなってしまったのです。
すると、所有者の"経済的理由"や保護に対する関心も"多様"になり、"増改築の方法"もバラバラと。。。。
当然、行政は、関与できないので、近代建築遺産の保護は"困難"となってしまうことが、心配されることとなります。
そこで、保護に必要な、改修工事"規定"として
- 市民が"当事者"として、遺産の保護に参加する。
- 市民が、建造物の"所有者、使用者"であるという誇りを育む。
という方針をたて、具体的には、
- 建築物の"自然な変化"を妨げない。
- オリジナル"イメージ"を大切にする。
- 保護(文化的)活動を市民が"共有"できるようにする。
ことを目指す、デザイン"ガイドライン"を設置したのです。
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