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【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。
再生に必要なガイドライン
ヨーロッパを代表する工業地帯となったルール地方。
IBAエムシャーパーク構想の"展覧会"の開催地ですが、この場所は、ドイツの西側中央付近に位置するルトライン・ウェストファーレン州にあります。
そして、この"州"が、大プロジェクトの"事業主体"なのです。前回まで見てきたように、展覧会までの"10年間"で事業を終わらせるため、州は、州の外郭団体として"有限会社IBAエムシャーパーク社"というひとつの"頭脳集団"をつくりました。
州が、この"集団"をつくった理由が"2つ"あります。
① ひとつめの理由が、
特別事業のためにわざわざヒトを雇って、公務員の数を増やしたくなかったこと。つまり、余計な"経費をかけない"ようにすることです。
② ふたつめの理由が、
小さな民間会社はフットワーク良く小回りがきき、決断が早いこと。つまり、10年という期間で"結果をだすため"ということです。
また、民間形式のほうが様々な場面で都合が良いコト、もあると思うのですが、イギリスの"EU脱退"や都知事の"交代"、トランプ"大統領"などと。。変化していく様子をながめていると、この構想が、現代版"大衆主義"の先駆けのようにも見えてきます。
さて、この大事業には、完成予想図(マスタープラン)がありません。では何を、指標にしたのか?その役割を担うのが、カタチに"多様性"を許容させることができる"ガイドライン"です。
この"ガイドライン"を"つくる"にあたり頭脳集団が、最初に行ったコトは、展覧会の"目標"設定と、展覧会による"経済活性化の具体案"づくりです。
食の"安全"と"健康"を目標とし、最も効率的な作業スペースはと通路は"この幅"とするなどとココをシッカリ設定すると汚染された土壌の取り扱いや、建築構造の考え方など、カタチにする段階で、優先順位が変わりそうな気がします。
実際、"カタチ"をイメージさせる完成予想図(マスタープラン)から"デザイン"という単語を連想するヒトは多いと思いますが、現代アートとは異なり、
デザイン本来の意味には"社会性"が含まれ、社会により近いものが"優れたデザイン"と評価されます。このように、この構想で最初につくられたモノは、"カタチ"という完成図ではなく、将来への"方針"と"理念"というデザイン本来の意味に近い"ガイドライン"なのです。
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