いつもありがとうございます。【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。
景観形成は、地域のため?
街づくりでの"ガイドライン"には、"指針"という意味があります。
ちょっと堅苦し印象です。。。この"指針"の"大事な役割"のひとつとして、「誰のために、何の水準を保つのか?」ということが挙げられます。
ここでよく"問題になる"のが、街の"景観水準"を保つのは、"観光客のため?"なのか。"そこに住んでいるヒトたちのため?"なのか。という"箇所"です。
富岡市でもこのような"箇所"に直面することになり、ガイドライン適用に、
- 協力的な"通り(地域)"
- 激論・対立になる"通り(地域)"
の2つの"通り(地域)"が、生まれることになります。
例えば、"親しみと懐かしさを感じる街なみ"。と、とても耳障りがよい"指針"ですが、懐かしさとは言っても。。そこに住んでいるヒトたちにとって、工場竣工時の"戦前"を懐かしむヒトは少なく、多くは、いまの商店街で、トタンのパラペットで軒先を覆う街に、"親しみ"を感じています。
そのため、ガイドラインの適用によって、なぜ?トタンのパラペットを撤去するのか?。。。分からなくなるのです。
また、"通り(地域)"によっては、鉄骨構造・鉄筋コンクリート構造の建物もあり、そこには、市街地の"耐震化・不燃化"に貢献してきたという"誇り"があります。
そのため、木造を推奨するガイドラインに対しては、木造ではない構造は"景観に相応しくない"と、決め付けられているように感じるひとも少なくないのです。
このような中さらに、ややこしいことが起こります。上州富岡駅の"駅舎"建て替え事業です。
ガイドラインによる景観形成では、"木造主体の昔ながらの街なみ"としながらも、駅舎は、90mの宙に浮く大屋根が印象的な"鉄骨煉瓦積造"として進行したため、当然、地域に住んでいるヒトたちは"混乱"することになります。
混乱は不安をあおり、
- 瓦主体で、薄暗い街になるのではなか。
- 若いヒトは観光に来るのか。
- 木材主体で、防災は大丈夫なのか。
と。。多くの不安が、わいてくることとなってしまったのです。
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