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【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。

富岡製糸場の建築的価値

開国後、欧米との間に"圧倒的な差"があった日本。

当時 明治政府は"富国強兵"として『 経済の発展 と 軍備の拡充 をはかろう!』というスローガンを掲げ、具体的手段のなかに"殖産興業"をあげていました。

殖産興業とは、欧米に対抗するため、国家の"近代化"を推進する各政策のことですが、その中に、"新産業"の育成という項目があり、まさに、一翼を担うべく1872年。

世界最大規模の製糸場"富岡製糸場"が誕生します。

建設統括は、ポール・ブリュナ氏。設計は、横須賀製鉄所建設のため招かれていたバスチャン氏と、ふたりともフランス人。

富岡製糸場は、フランス人の"技術"を軸にに造られていたのですね。。。

さて、設計期間は約2ヶ月、工事期間も約1年半と、異常に短い期間で終了しているのですが、これは、横須賀製鉄所の工事内容を転用したからではないかと言われており、現在でもほとんど完全な形で残っていることからも、やはり事前に、完全な"計画"があったことが推測されます。

構造は、木造軸組の間に煉瓦を積んでいく、いわゆる組積造りで、小屋組みに"トラス"を用いた大空間を実現しています。

ちなみに"トラス"とは、三角形を基準にした構造体を組み合わせて構成する構造体ことです。この構成にすることで、軽くて丈夫な構造体が造れるのです。

また、建材は"現地調達"を基本として、特に数万個にも及ぶ"煉瓦"は、ブリュナ氏が瓦職人に指導し、現地で窯をつくり焼いたそうです。

一方で、屋根の葺き方は、桟瓦葺と"日本の在来工法"を採用していることから、当時の"日本の事情"と"技術の高さ"を裏付けできる折衷的な配慮がありました。

竣工から150年。寄宿舎、食堂、診療所などの福利厚生施設なども含め敷地内には、100棟を超える建物が現存しますが、その多くは、老朽化で修繕の時期にあります。

世界遺産の目的は、あらゆる要素の"保存"にあるため、市では、本格的な保存に着手し、その内容を"公開する"としています。

イブレアの場合もそうでしたが、歴史を重ねた建造物には不思議なチカラがあります。

建設当時、この建物に携わった多くのヒトが目指したよいものをつくろうとする"心意気"までをも重要な世界遺産の要素として読み解くことができるようです。

150年前、木骨煉瓦造の建築物が、街の中心に現れた当時の違和感は、容易に想像できますが、いまでは"誇り"です。

建築物を造るということは、100年後も見据えることですが、単純に構造を強くして壊れないモノをつくれば良い。。。という訳ではなさそうですね。。。つづく。

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