いつもありがとうございます。【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。

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連携

空き建築である山形県の旧蚕糸試験場の有効活用プロジェクトは、行政を中心に市民と大学・建築会社が密接に連携してきたことが、最大の強みです。

歴史のある建物の再生では、何を受け継ぎ、何を更新するか、関係者の判断力が問われます。

予算と法律を満たすことに加え、地域の歴史や文化を調査して、計画に反映することが、とても大事です。

この改修工事では、旧農林省による同じ形式の建物が3棟あるという特徴を最大限に生かされています。

  • 建てられた当初に復原する
  • 3棟で異なる補強を行い、大・中・小の空間をつくる
  • 現状の空間を変えない

という3つの改修方法で、3棟全体で施設の歴史や空間を体験できるよう計画されています。

利用者は 3棟を歩き回って自分に合う空間を選ぶことができるのです。

現在とこれから

改修された木造建築は、身体スケールに心地よくフィットし、幅広い活動を許容する空間へと生まれ変わりました。

現在、第五蚕室は産直所、第四蚕室はカフェやオフィスとして日常的な賑わいの拠点。

第一蚕室は多目的ホールとしてコンサート・演劇・ワークショッフ等さまざまな市民活動の場に活用されています。

一方、工事に携わった地元建築会社が経験を蓄積することで、歴史を継承し、より良い形で更新するという文化的土壌も育まれつつあります。

また新庄市は現在、歴史的風致に関する法律に基づき周辺整備事業を進めています。

それは、蚕糸試験場の賑わいを生かし、地域全体を活用して文化財保存と地域の活性化を目指すものです。

プロジェクトの2つの特徴

①歴史的建築物とランドスケープを核とした街づくリ

全体を統括するのは市ですが、特定の誰かが強い行使力を持つのではなく、各場面によって、市・市民団体・専門家と大学が入れ替わりながら担当するスタイルです。

②コラボによる街づくり

施設が持続的に活用されるためには、地元のチカラに加え、外部からの視点が大事で、ここに地元市民と市民以外の人たちの連携の意味があります。

今回改修された蚕室は、建てられた当時の地元大工の知恵も重なり、結果的に新庄仕様の形式にカスタマイズされたのです。

これは意図的ではなく、80年以上前の建てられた当時すでに、国で決めた方針と地元の知恵のコラボ建築が実現されていたということです。

今回、再び違った形で繰り返したことになりますが、これもまた建築で歴史を継承することのひとつだと考えられます。

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