いつもありがとうございます。必要の場をツクル設計事務所-長尾アトリエ の 長尾 です。
ヨーロッパ都市に学ぶ
ヨーロッパの都市では、歴史的建築を単なる文化財として保存するだけでなく、現代社会の中で新たな価値を与えながら活用している姿に驚かされます。
その象徴的な例のひとつがヴェネツィアです。
自動車が走らず、運河を行き交う船と迷路のような路地によって構成された街並みは、まるで巨大なテーマパークのような独特の魅力があります。
近年修復を終えたサン・マルコ大聖堂は、その外観を改めて輝かせ、歴史的建築の価値を再認識させてくれます。
また、サン・マルコ広場の一角にある近代建築の傑作であるオリベッティ・ショールームは、現在も公開されていて、繊細な空間体験をもたらしてくれます。
ちなみにオリベッティとは、イタリアでタイプライターの製造・販売会社として創業された会社です。
近代の建築
中世建築だけでなく、20世紀の名建築もまた、丁寧な保存と修復によって次世代へ受け継がれています。
歴史建築の再生という点では、リアルト橋近くにある16世紀の建築をレム・コールハウス率いる世界的建築事務所のOMAがリノベーションした百貨店も印象的です。
壮大な吹き抜け空間に現代的なデザインを挿入しながらも、歴史的な建物の魅力を損なうことなく新たな価値を創出しています。
一方、パリのサマリテーヌ百貨店では、日本人建築家ユニットSANAAが歴史的建築と現代建築を融合させています。
既存の建物を尊重しながら、波打つガラスファサードによって新しい都市景観を生み出しています。
歴史を否定するのではなく、現代のデザインを重ね合わせることで都市の魅力を更新する手法は、ヨーロッパならではの成熟した建築文化と言えそうです。
パリでは近年、歴史的建築の再生プロジェクトが相次いでいます。
その代表例が、安藤忠雄氏によるブルス・ドゥ・コメルスです。
18世紀の取引所を現代美術館へと改修したこのプロジェクトでは、装飾的な歴史建築と幾何学的なコンクリート空間が見事な対比を生み出しています。
同じくヴェネツィアのパラッツォ・グラッシやプンタ・デラ・ドガーナも安藤忠雄氏が手がけた歴史建築の改修事例として知られています。
いずれも外観にはほとんど手を加えず、内部に現代的な空間を挿入することで、建築の歴史と現代性を共存させています。
