いつもありがとうございます。【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。本年もよろしくお願い致します。
生活に影響を与える気候
アフリカ大陸の約3分の1を占めるサハラ砂漠。
砂漠の北側には、アルジェリアが位置し、その中央にはインベルベルという村があります。
雨もほとんど降らず、年間通して乾燥した地域であるため、当然この気候は、家の素材やつくり方、生活スタイルにも大きな影響を与えています。
インベルベルの家は、日干しレンガでつくられていますが、この日干しレンガの材料は、土に水と干し草、ロバのおしっこを混ぜて練ったものです。
この材料を木の型枠に入れ、しばらく放置し、ある程度乾燥したら型枠から抜きだします。
両面を乾燥させるために、それをタテに並べ、完全に乾いたらひとつひとつ積み上げていきます。
場所によって異なる仕様
アルジェリアの中でも、北部に位置する"アルジェ"では、雨への対策として屋根や壁に白い"漆喰(しっくい)"などを塗り、防水性や耐水性を高めています。
一方、インベルベルなど、雨がほとんど降らない砂漠の家では、"漆喰(しっくい)"などの仕上げもほぼ行いません。
ヒビが入って崩れたら、また日干しレンガで補強します。
レンガの材料はタダで手に入るため、定期的に壁をメンテナンスすることで問題なく対処できます。
このような家づくりは一見すると、原始的なものに見えますが、砂漠という厳しい環境で限られた資源を最大限にいかした手法であり、とても合理的で、持続可能な方法と捉えることができます。
住居の間取り
インベルベルの集落では、日干しレンガで造られた家屋が密集し、日本の集合住宅の様なカタチの"大きなひとつの住居"が一般的です。
家族や親せきなどが、まとまって集落をつくっていることが多く、壁をひとつ超えたむこう側の家に独立した子供と、その家族が住んでいるといったことも多いです。
これらの家々はとても複雑に入りくんでいて、家の外壁には窓がなく、部屋は暗くて閉鎖的です。
入口の扉を開けると窓のないうす暗い部屋があり、次に客をもてなすための部屋や寝室などがあり、広場のような"屋根のない中庭"へとつながっています。
このような外壁に囲まれた空間の中心に中庭がある住居は、中庭型住居と呼ばれています。
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