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多機能な中庭型

サハラ砂漠にあるアルジェリアには、インベルベルという村があります。

この村の住居の特徴は、家族や親戚など大勢が、密集するかたちで、大きなひとつの家(住居群)ができていることです。

そして、もうひとつの特徴が、中庭を中心にした生活様式であることです。

中庭には、多くの利点があります。

まず、風が入らないので砂ぼこりが、家の内部に入るのを防ぎます。

この住宅の中庭は、7.5帖ほどの広さで、3m近い高さの壁に囲まれているため、中庭には常に"日かげ"ができています。

日中は、中庭のどこかに"日かげ"があり、暗い部屋の中には熱気が入りにくいので、砂漠の乾燥地では風通しがなくても"日かげ"があれば暑さを"やわらげる"ことができるのです。

さらに、多くの戦争を経験してきた土地であることから、複雑に入り組んだ街の"つくり"は、敵が侵入しにくい"城塞"としての役割も担ってきました。

実際に、アルジェリア戦争の際に、フランス軍が苦戦を強いられた原因のひとつが、ゲリラ兵が壁や屋根を伝って逃げてしまうことだったと言われています。

そして、中庭が担うもうひとつの役割は、コミュニケーションの場であるということです。

村には、ほとんど雨が降らないため、中庭にはいつもヒトが集まり、団らんの部屋代わりになります。

宗教上の理由で外を出歩けない女性でも、中庭は気軽に出られる外の空間ですし、女性だけしか入れない中庭もあります。

村人は、水場でくみ上げた水と農園で育てた穀物で料理をつくり、中庭に集まっては、食事やお茶をしながら楽しみます。

お客も中庭でもてなします。

また、砂漠では電灯の光や雨雲もなく、空気が乾燥しているため、暑い時期の夜には、中庭や屋上に寝そべって満天の星空を見上げて過ごすこともできるのです。

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