いつもありがとうございます。【必然の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。
ル.コルビュジェの"近代建築5原則"
1929年にアジール・フロッタンのリノベーションの依頼を受けたコルビュジェは、コンクリート製の箱船に対して、"ピロティ状の柱"と"水平連続窓"、そして"屋上庭園"を持つ屋根の増設を行います。
これにより、
- "自由な平面"
- 様式建築とは無縁な"自由な立面"
を獲得し、コルビュジェが提唱した"近代建築の5原則"をいち早く実現します。
この工事は、現場の仮囲いも兼ねて、ほぼパリの中心である、シテ島の上流2kmほどにある"オーステルリッツ橋"の下で行われました。
また、このアジール・フロッタンの構想から実現までを、1928年からコルビュジェのもとで働いていた、建築家"前川國男"が、このリノベーションを担当していました。
ちなみに"前川國男"の代表作のひとつは、上の公園の"東京文化会館"です。
コルビュジェの代表作"サヴォア邸"は、1928年から設計を行い、4年間かけて1931年に竣工していますが、コルビュジェが提唱した"近代建築5原則"を明確に具体化した作品として世界的に知られています。
この"代表作"と並行する時期に、アジール・フロッタンの設計依頼を受けたことで、"サヴォア邸"よりも、先に竣工することとなった、アジール・フロッタンで"近代建築5原則"を実践し確認しようとしたことが想像できます。
また、プルジョワの住宅である"サヴォア邸"に対して、アジール・フロッタンはローコストであり難民のための空間でした。
コルビュジ工が、それらを同等に考え設計に取り組む姿勢に一貫性を読み取ることができます。
空間への取り組み
船内には"ピロティ"と"水平連続窓"そして"4m間隔の2列の柱"の間に2段ベットを設置し、広がりのある高さと空間として設計されました。
左右の水平連続窓からは、船底に太陽光が全員に等しく行き渡る気持ちのよい居住空間を実現します。
当時は設計と施工の費用を建築家が直接管理していたことなども考えると、厳しいプロジェクトであったが、コルビュジェは制約の多い船にも関わらず、理想空間を具体化するためにエネルギーを注いだと考えられます。
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