いつもありがとうございます。【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。

地域の特徴

ルーマニア北西部に位置するマラムレシュ地方は、山に囲まれており、他の地域へ移動するためには、峠を越えなければなりません。

このような場所では、即座に時代の変化に追いつくことが難しい反面、豊かな森林に囲まれ、木材加工の文化が発達しているという特徴があります。

それは、食器やおもちゃ、農業道具などの生活用品に加え、伝統的な住まいも木で造られています。

道路沿いに豪華な彫刻を施した巨大な木造の門があるのが、マラムレシュならではの街並みです。

主に使用されるモミの木は、柔わらかいため加工しやすいですが、その分強度は低く、高い建物はつくれないため、標準的な住宅は平屋で、一列にならんだ3部屋で構成されます。

建物の真ん中に玄関が有り、玄関を入って左手に居間、右手にもう1部屋、真ん中は、玄関ホールと収納部屋に使います。

収納部屋の上の屋根裏に、居間にあるストーブの煙を導いて、"くん製"用の場所にすることもあり、煙による防虫の効果もあるため一石二鳥です。

家の外には井戸のほかに家畜小屋や便所、果樹園や家庭菜園があります。

多機能な空間

家族の居住時間のほとんどは居間にあります。

居間の入り口近くの壁には、レンガや陶器でつくられた"ソバ"と呼ばれる、"暖房"と"調理器具"の機能を兼ねたストーブがあります。

燃料の炎で直接部屋を暖めるわけではなく、熱せられたレンガや陶器が熱を保ち、その熱が木の壁を暖めることで部屋中も隅々まで暖まります。

このストーブの熱で煮炊きを行うことができるので、居間には台所の機能が備わっており、食事もこの空間でとることができます。

この蓄熱性のあるストーブの壁が、炎を消しても夜どおし部屋を暖めてくれるので、ストーブのある部屋に家族みんなが集まり、一緒に眠る寝室にもなっています。

部屋が複数ある家でも生活に使用している部屋は居間だけの場合が多く、さらに部屋を作る余裕がある場合には、客間として使われたり、保管庫に使われています。

お客さんも普段は居間に通されることが多く、壁に据え付けられたベンチに座ってツイカ(蒸留酒)でもてなされます。

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