いつもありがとうございます。【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。

極寒に対する工夫

カナダの北極海沿岸からグリーンランドに広がるツンドラ地帯。

樹木が生育できる森林限界より北に位置するこの地域には、イヌイット(エスキモー)と呼ばれる先住民族が暮らしています。

イヌイットが暮らす寒冷地帯の冬は、気温が-30~40℃に下がるときもあり、寒さの厳しい地域のため、雪のブロックを積み上げて建てられるイグルーには様々な極寒対策があります。

まず、イグルーの入り口の向きは、部屋へとつながる"通路の軸"をはずして造ります。

こうすることで、冷たい風や雪が、まっすぐ部屋まで吹き込まないようにしています。

また、寒さや湿気を防ぐため、内部の床や壁に動物の毛皮を敷いたり張ったりします。

天井の高さは、人間の背丈より少し高い2メートル程度のドーム状のため、基本的には座って過ごします。

部屋の中で煮炊きをし、一番奥には、寝床などの用途で使えるように入り口の開口高より、少し高くなる位置に広めの床が設けられます。

地域や季節で変わる家

雪以外の建築材料が手に入る地域では、イグルーとは異なるさまざまな家が造られます。

夏に住む家として一般的なのは"テントの家"です。

カナダ北部一帯の、グリーンランド、ラブラドルからアラスカの広い範囲で見られるのは、水平の棟木を何本かの柱で支える四角いテントです。

柱に使用する部材は木だけでなく、セイウチやアザラシなどの骨も使われます。

また、カナダ北西側に位置するアラスカでは、四角以外に、柳の小枝を組み合わせた、円すい形やドーム形の骨組みを"けものの皮"で覆ったテントも造られています。

逆の北東側に位置するグリーンランドには、イヌイットが冬に住む石造りの家があり、屋根は芝土でおおわれ、数家族が共同で暮らせるように、大きく造られています。

冬至を中心に太陽が昇らない極夜で、夏至を中心に太陽が沈まない白夜となる"北極圏"では、しっかりとした木造の家が見られます。

家には決まった形がなく、流木を積み重ねたさまざまな形の家がつくられています。

しかし、アラスカのベーリング海地域にみられる高床の陸屋根形式の家のように、技術的に洗練されているものなど、現在では、暖房設備のついた木造家屋が普及し、石造りや流木でつくる住居はあまり見られなくなっているようです。

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