いつもありがとうございます。必要の場をツクル設計事務所-長尾アトリエ の 長尾 です。
生活の工夫がデザインになる
生活の中では、使いにくさを解決するために、自分で工夫している人がいます。
例えば、手首を回すことが難しい人が、ドアノブに十字形の金具を付けて、手首をひねらなくても開けられるようにする工夫があります。
このような工夫を参考に、握力の弱い人や手首をひねりにくい人でも使いやすい瓶オープナーが開発された例もあります。
もちろん他にもいろいろな条件が重なってのアイデアだと思いますが、いずれにしても、使う人は単なる利用者ではなく、新しいアイデアを一緒に考える仲間でもあるのです。
考える過程が大事
インクルーシブデザインでは、完成した製品だけでなく、そこに至るまでのプロセスが大切です。
さまざまな立場の人と話し合い、「どこが使いにくいのか・なぜ困るのか・どうすれば良くなるのか」を一緒に考えていきます。
自分にとって当たり前のことでも、別の人にとっては当たり前ではありません。
違う立場の人の話を聞くことで、これまで気づかなかった問題や、新しい可能性が見えてきます。
新しいだけがデザインではない
インクルーシブデザインとは、新しい製品を作るだけではなく、今ある建物や仕組みを生かしながら、別の役割を持たせることも考えていくことでもあります。
例えば、「Maker Library」プロジェクト。
このプロジェクトでは、図書館を本を読むだけの場所ではなく、情報や技術をみんなで共有する場所として考え直しています。
建物を壊して新しくするのではなく、今あるものに新しい価値を加えていく。
人口が減っていくこれからの日本では、こうした考え方もますます大切になりそうです。
情報には課題がある
日本では、駅のエレベーターなど、体の不自由な人でも利用しやすい設備が多く整えられています。
温水洗浄便座も、もともとは高齢者などが使いやすいように考えられた機能が、使いやすさを工夫することで、多くの人が使う一般的な商品になった例のひとつです。
一方で、情報の伝え方にはまだ課題があります。
日本語だけで説明されている場所では、外国人には内容が分かりにくいことがあります。
「利用するのは日本人だけ」と考えるのではなく、さまざまな人が利用することを想像することが大切です。
原因が環境にあることも
障がいについて考えるとき、「その人が」と考えてしまいがちですが、実際には周りの環境や情報の出し方が原因になっていることもあります。
社会には大きく、「環境・意識・情報」という3つの壁があります。
- 段差で車椅子移動できない → 環境の壁
- 障害のある人への思い込み → 意識の壁
- 設備の使い方が分からない → 情報の壁
ということですが、本人に無理をしてもらうのではなく、周りの環境や仕組みを変えることで、できることは増えていきます。
みんなが使いやすいもの
インクルーシブデザインは、特定の人だけのためのデザインではありません。
誰かが感じている小さな「使いにくい・困った」に耳を傾け、そこから多くの人にとって使いやすいものを考えていく方法です。
このため作る側だけで答えを決めないことが大事で、実際に使う人と考えることで、それまで見えていなかった問題や新しいアイデアが見えてきます。
一人の「困った」を考えることで、たくさんの人の「使いやすい」につながことが、インクルーシブデザインの大きな考え方です。
