いつもありがとうございます。必要の場をツクル設計事務所-長尾アトリエ の 長尾 です。
藤森照信と隈研吾
どちらも日本を代表する建築家ですが、二人の建築を並べてみると、かなり違った印象を受けます。
藤森氏といえば、木や土などの自然素材を使った、どこか素朴でユーモラスな建築。
一方の隈氏は、木や竹などの細い部材を繊細に組み合わせた、軽やかな建築が印象的です。
そんな違いから、藤森氏を「縄文」、隈氏を「弥生」として例える見方もあります。
しかし、少し違う角度から眺めてみると、意外な共通点が見えてきます。
それが、「建築の表面」を大事にしていることです。
表面から考える建築
例えば、藤森氏のまさに屋根一面に鉢植えのニラが置かれた「ニラ・ハウス」は、土や木などの質感をそのまま生かし、少しゴツゴツした独特の表情をつくっています。
一方、少し前に木製ルーバーの腐食でニュースになっていた、隈氏の「那珂川町馬頭広重美術館」では、細い杉材をたくさん並べることで、建物全体に繊細な表情を与えています。
やり方はまったく違いますが、どちらも「建築の表面」を積極的にデザインしていて、そこに二人の共通点があります。
素材でつくる
この特徴は、二人の建築展でもよく表れています。
藤森展では自然素材や模型などが紹介され、隈展では竹、木、紙、石、土などの素材が展示されています。
このようなことからも建築は図面や構造だけでなく、素材そのものの魅力から考えることもできるのだと分かります。
建物を見たときに、「この木の感じがいい!」「この壁が面白い!」などと感じることがあります。
そうした、少し感覚的な部分を大切にしているのが、二人の建築とも解釈できます。
それぞれの素材
藤森氏は、建築史家として活動した後に建築家になったため、歴史から少し離れたところに新しい建築の可能性を見つけてきました。
土や木を使い、手仕事のような雰囲気を残しながら、どこか懐かしく、それでいて見たことのない建築をつくる。
一方、隈氏は、木や竹、石、紙など、地域にある素材を建築の表面に取り入れていきます。
その土地らしさを感じさせながら、同時に現代的な建築として成立させるといった「地域的」でありながら「グローバル」というところが、隈氏の面白さです。
触れられる建築
二人の建築は、見た目にはかなり違いますが、その根っこには、建築を単なる「空間」や「構造」ではなく、素材を通して身体で感じるものとして捉える姿勢があります。
木の手触りや、土の質感、光の当たり方などが重なって、建物の「表情」が生まれます。
建築の面白さは、意外とこうした「表面」に隠れているのかもしれません。
