いつもありがとうございます。【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。
現在、完成形を視覚化することで、そこにたどり着くためのより良い道筋が見えてくるのではないかと考え、モノづくりを「3Dモデリングから始める」試みを行っております。ご興味ある方は下記リンクよりご覧になってみてください。

対策の責任者

基本的に、空き家の管理は所有者が行なうものです。

しかし、現状の空き家の急速な増加は、地域環境の悪化や地域コミュニティの維持に大きな影響を及ぼすため、空き家発生が心配される建物の所有者地域が一緒に対策に取り組むことが望ましいと考えられます。

前述の八王子市北野台住宅地でのアンケート調査の結果からも、空き家対策は、住まいの所有者が責任をもって、困った空き家にしないことを基本としています。

しかし、高齢者世帯が責任を持って対処することが、困難なことが多いのも事実です。

では、空き家対策等を含めた住宅地マネジメントは、誰が行うのが適切なのか。

まず、思い当たるのは自治会で、サポート役としてNPO等が考えられます。

連携と役割

所有者による自助が基本ですが、自治会は、個人の意思に基づく助け合いで自助を支え、NPO等は、地域をサホートするという連携と役割の構図が見えてきます。

さらに行政による公助も考えられます。

一方、戸建住宅地の自治会の現状は、住民の高齢化、自治会未加入世帯の増加、役員の短期交代制等により、空き家対策などの地域的課題に自治会だけで継続的に取り組むことは難しくなっています。

しかし、地域全体の良好な住環境につながる空き家対策と住宅地の価値を高める街育てを、あまり負担のない範囲でNPO等と連携して行うことは、自治会に期待される役割と考えられます。

そして、NPO等は、自助空き家対策を有償でサポートし、自治会行政連携して、地域全体の社会的利益の増進に貢献し、非営利の地域ビジネスを展開することが期待されます。

具体例

例えば、開発後約50年が経過した八王子市めじろ台住宅地(約3.800世帯、内戸建住宅地約 2250区画、人口約8200人)では、NPO法人めじろむつみ倶楽部が、平成14年度から「元気なシニアが、手助けの必要なシニアを助ける」を理念に、庭木の剪定や空き地の草取りなどの有償ボランティアで地域や暮らしのサポートを行っています。

さらに、助け合いネットワークへと発展し、地域全体の魅力と価値をマネジメントするため、平成31年に、公民連携のまちづくり協議会が組織され、住み継がれる持続可能な郊外住宅地への取り組みが始まりました。

2カ月ごとに開催されるまちづくり協議会は、毎回数十名の住民、行政、金融機関、鉄道会社等が出席して、活発な意見交換が行われているそうです。

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