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環境の色彩計画

建物の外壁色には、その地域でよく使われる慣用色と呼ばれる色域があり、条例などの景観計画で決められている色彩基準の多くが、慣用色範囲を基本としています。

では、慣用色はどのような過程で知ることができるのか。

伝統的な建築物の多くは、地域原産の建材を使用するため、その自然材の色彩が街の基調色となりがちです。

その中で権力者が特別な色彩望んだり、またはインドのブルーシティのように、インデイゴ(ジーンズの藍色染料)を漆喰に混ぜて青い家をつくり、世界中のどこにも見られないような不思議な景色の街をつくるということもあります。

また、教会や寺院のように、地域の象徴となるような特別な色彩の建築物を、住民から集めたお金で建てたり、さらには、オランダのシュレーダー邸(デ・ステイル建築を代表するモンドリアンの抽象画を建築化したかのような外観)のように、近代化の運動として、それまで見たこともない色彩で建築物を塗装した例もあります。

このように色彩計画には、さまざまな要因があるのですが、日本では戦後アメリカから取り入れた、カラーコンディショニングの時代からとされています。

この手法は、色彩調節と訳され、多くの工場建築に取り入れられていくこととなったのです。

補色残像

まず、中央の図に描かれている赤い円形の中心部を10秒ほど凝視し、その後、左側の正方形の中心部を見ます。

すると、間もなく青緑色の円形が見えるはすで、この青緑色の円形は徐々に色を失い、しばらくすると青緑色の円形は消え、白い正方形が戻ってきます。

次に、同じく中央の赤い円形の中心部を30秒ほど凝視した後に、右側の青緑色の正方形の中心部に眼を移すと同じように、青緑色の円形がほのかに見えるが、その見え方は白い正方形のときよりもずっと弱くなります。

このような現象は、残像と呼ばれ、誰にでも起こる生理的な現象で、凝視していた色彩の反対色が見えることから補色残像とも呼ばれます。

戦後、アメリカではこのような人間の生理的、心理的な反応を研究し、色彩計画に役立て、現在でも手術室の壁面に青緑色のタイルが使われるのはこのためです。

手術の際に切開した部分の血の赤の残像が見え難いように、赤い血の補色を壁面に使って、作業効率を高める工夫です。

この他、工場の食堂の壁面を暖色系にすると食欲が増すという効果があるそうです。

また、工場で使うコンテナの色彩を、汚れが目立たない黒から明るいクリーム色に変えたところ、コンテナを以前よリも軽く感し、疲労を訴える人が減ったという報告もあります。

さらに、作業員の眼の疲労を軽減するという理由から、工場の機械類にはアイレストグリーンと呼ぶ彩度を抑えた緑色がよく使われ、今でも多くの工場の機械類に残っています。

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