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島づくりの支え

沖縄の原風景と呼ばれるようになった竹富島は、赤瓦を中心とした景観づくりの歴史でもあります。

赤瓦を使用した屋根の家、白砂の路、珊瑚の石積、福木(この地域に分布している常緑樹)の屋敷林など、これらのほとんどは、生活の知恵から生まれた風景ですが、鉄分を多く含む土でつくられた赤瓦は少し違います。

戦前は茅葺の方が多く、景観への規制マニュアルがあった訳ではありませんが、島の人たちは、自分が美しいと思える景観を自らつくり、文化財の指定など、地域ブランド化に効力ありそうなことにもチカラを尽くしていました。

共に助け合うことを竹富島ではうつぐみと呼び、そのうつぐみが、観光として実を結び経済的に安定した島となったのでした。

この精神は日常的で、「お客さんの目に痛いだろ」という思いから地域の雑草を取り除き、最後に箒(ほうき)目を入れるほどです。

しかし、世代交代によるうつぐみの引継ぎはこれからの課題になりそうです。

緩やかな独占

近年の流行りに便乗し、初期投資が少なく簡単に儲かるレンタサイクルを扱う人も増えました。

風を感じて走ろうとテレビの特集が自転車を推奨しネットで拡散されたこともあり、なごみの塔(文化財)周辺は自転車と水牛車での観光客で賑わうことになりました。

一方で、文化財としての民芸品を多く所蔵する喜宝院蒐集館に入館する人などは、ほとんどいなくなります。

切り取られた写真や動画は美しいですが、実際の白砂の道は、自転車のワダチで凹凸となり、お年寄りが骨折してしまう事故も起こりました。

さすがに、新住民の中からも声が上がりますが、儲かる観光業には届かず。。

布を織る音

コロナ以降で、インバウンドが戻るのは今年(2024年)からと言われています。

沖縄の伝統的な木綿織物であるミンサー織り。

もともと中東から中国を経由し伝わった織りで、中国語の「綿(ミン)」と「狭(サー)」を表し、木綿でできた狭い帯を表す言葉が語源です。

いまや島の美徳を考え直し、後継者の育成にもチカラを入れる時期に入り、歴史的に衰退と復活を繰り返しているこの竹富の美しい織物を引き継いでいかないと伝統が失われてしまいます。

ギンネムの木が繁茂している美崎の畑で育てた糸芭蕉からできる糸が一番柔らかいそうです。

アフターコロナは次の50年に向け、うつぐみの精神により島本来の美しさと島独自の時間を見直し、原点に還ることを再認識させてくれるのかもしれません。

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