東日本大震災のこれから

いつもありがとうございます。

【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。

先日、東日本大震災から 5年 が経過しました。

20年ほど前の1995年に起きた、

阪神大震災では、約5年で"プレハブ仮設住宅"が解消されました。

"プレハブ仮設住宅"とは、

都道府県が設置し、市町村が管理する"仮の住い"のコトですが、

地元の木材などを使用する木造タイプなどもあり、家賃は無料です。

工事の範囲は、

土地造成や、上下水道整備を含めますが、

本体自体は、雨風をしのぐためだけの仕様で、

断熱材などは入っていなく、気温の影響をモロに受ける状態で、

1棟、700万円程かかります。

昨今、

「数百万円程で家が建つ。」などとTVCMで見かけますが、

どこまでが工事範囲なのでしょうか?

一方、

東北の場合は、気候を考慮し、

完成後、"断熱材"や"風呂の追い焚き機能"を

追加している所もあります。

政府は、オリンピックの年までに

"仮設住宅の解消"を目指していますが、

いま現在、

岩手、宮城、福島 3県にある"プレハブ仮設住宅"の、

少なくとも

1万4000戸から居住者が転居できずにいます。

こんなにも多くのヒトが移転できないのには、

深刻な理由があります。

そのひとつが、

"津波の記憶がある土地"に、戻りたくないという

当事者の"気持ち"

とともに、

"山を削った高台""盛土で土地のかさ上げ"

など、"移転場所の整備"が、大規模になったため、

時間がかかってしまっているからです。

理由があるから、

時間がかかってしまっているのですが、

居住環境が改善されない状態が長くなることで

人口流出にもつながってしまいます。

福島県のそれは、

"原発問題"も同時に存在していて、

昨年はじめて非難解除された、ナラ葉町では、

人口の7400人のうち、帰還したのはごく一部だったそうです。

これらの背景には、

"物理的な理由"や"心情的な理由"などが、

複雑に交錯していて、

単純なデータのみで解決することは、とても難しいと思います。

一方政府は、

いままでの5年間は、"集中復興期間"として進んできましたが、

これからの5年間は"復興・創生期間"として

被災地の"自立を促す"コトを方針としました。

現時点で、

復興住宅の完成率は、46%ですが、

"平地が少ない場所""原発問題に関わる場所"

においては、20%ほどにとどまっています。


いま、仮設住宅は、

気密性、断熱性が、十分とは言えない状態に加え

劣化を始めています。

これは、住人の健康被害にもつながるコトになります。

解決のため、劣化の補強工事が検討されていますが、

被災者の度重なる転居による負担を

どのように軽減するのかなどは、

全国からアイデアの募集は出来ないものなのでしょうか?