グラクテンゴルデル
いつもありがとうございます。
【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。
延べ100km以上の"運河"、100を超える"島々"。
そして、
1500箇所もの"橋"で構成される都市"アムステルダム"。
ここの運河システムのほとんどは、
優れた"都市計画"によって造られたモノです。
その中に、
3つの"主要な運河"があり、
街を同心円状に流れています。
簡単に言うと、
大・中・小の3種類の"分度器"を
順番に重ねた時に現れる
大きさの違う"3つの円弧"のように配置されている。。
ということです。
そして、
直線部分が"湾(海)側"となります。
3つの運河の中で、
最も大きい円弧の位置を流れるのが、
"プリンセン運河"です。
"公(君主)"を意味するこの運河沿いには、
「アンネの日記」で、
アンネたちの"隠れ家"となった家があり、
そのすぐ西側には、
宗教的弾圧から逃れてきた移民たちを
"受け入れていた"歴史地区があります。
"寛容さ"。。ですね。
次に、
2番目に大きい円弧の位置を流れるのが、
"ケイザー(カイザー)運河"です。
"皇帝"を意味するこの運河沿いには、
美しい装飾を設えた建物が並び、
近代建築の先駆者などが暮らしていたようです。
そして、
1番小さい円弧の位置を流れるのが、
"ヘーレン運河"です。
"商人"を意味するこの運河が、最初に造られたのです。
これら3つの運河は、
"グラクテンゴルデル(grachten"=運河"gordel"=ベルト")
と呼ばれ主に、
宅地造成の"幹線運河"としての役割を担っていたのですが、
実は、
4つめの運河があります。
3つの運河より、さらに小さい円弧の位置を流れる
"シンゲル運河"です。
なぜ4つめかと言いますと、
この運河だけ少し"役割"が違っていたのです。
その違いとは、
"水利"はもとより、
"防衛"のために配置されたコトにあります。
なぜ?
防衛のためなのか。
16世紀から17世紀にかけて戦時中であった当時、
移民を"寛容的"に受け入れていたため、
アムステルダムの人口は、
約3万人から"7倍"の約22万人にまで膨れ上がっていました。
そのため、
市民、移民の住居の確保と同時に、
街を"守るため"に境界線を明確にしなければならなかったのです。
"包括的都市計画"の結果。。。
つまり、
"寛容的"な"街のカタチ"ということなのです。。。つづく。