フロー型社会とストック型社会
いつもありがとうございます。
【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。
フロー型社会。
大量生産・大量消費を特徴とする流動的経済社会のことです。
とても不思議なコトに、
空き家が増加する中、
一部を除いた住宅市場は現在でも、
この"フロー型"を中心に進行中です。
一方の"ストック型社会"。
住宅や、橋・道路などを造っている骨組み(構造)は、
表面を覆っている材料とは違い、
比較的長い時間、
手を加えられることはありません。
このような骨組み(構造)を
価値ある社会資産として"長期に渡り蓄積"し、
その資産を"有効活用"することで、
持続可能(サスティナブル)な社会が実現できる。
という考え方を"ストック型社会"といいます。
また、
この骨組み(構造)に
手を加えなければならない"時"というのは、
老朽化、壊れた、現行の法律にそぐわない。。など
物理的に持続不可能な状態で、
全体を改修する"時"となります。
つまり、
ゼロに戻す"時"ということです。
このような背景のもと、
国が、2009年にスタートさせた、
"長期優良住宅"制度をご存知でしょうか。
一時期、TVのCMなどにも頻繁に登場していましたが
昨今、
あまり耳にすることはなくなりました。
欧米の住宅に比べ、日本の住宅は、
寿命が短く、
資産価値も低いとされています。
そこで
構造及び各仕様を一定以上の水準にすることで、
"100年住宅"を目指すのが
当初、長期優良住宅の目的でした。
しかしながら、
国で定めた構造基準の建物を
国の所轄機関で耐震実験したところ、
3階建ての"在来木造住宅"よりも
3階建ての"長期優良住宅"のほうが先に崩壊する
という
お粗末な結果となってしまいました。
どうやら住宅に限らず、
・ 街をつくっている骨格
・ 家電や携帯電話など日常品をつくっている骨組み
など
その構造を"固く"すれば"持続可能"の状態。。
。。という訳ではなさそうです。
そこで、
ストック社会の"軸"である
・ どのような場合・モノに"高い資産価値"があるのか?
・ どのような活用の仕方で"持続可能な状態"になるのか?
を探るべく、
色々なケースの断面を見てみようと思い
今回のテーマとしました。
このテーマ。
再生、保存、資産価値。。などのキーワードが連想されますが、
価値あるモノを未来に残す"世界遺産"などにも
ヒントがありそうです。
どのような部分に価値を見出し、
どのような基準で選ばれているのか。
次回は、
そんな世界遺産の断面を見てみようと思います。