ドイツヘッセン州の小都市

いつもありがとうございます。

【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。

ドイツに限らず、

文化財として"指定された建造物"に関しては、

それに係る"未指定の"緩衝地域"まで

専門家が関与しながら、

デザインコントロールされるのが一般的です。

例えば、

ドイツヘッセン州の小都市"ビューディンゲン市"。

ここでは、

自治体が選任するハウスドクターが、

歴史地区の"全体計画"を描き、

地域住民の"新築・改築相談"に対応する。。

という"デザインコントロール"を行っています。

また、

同州の小都市"ゼーリゲンシュタット市"では、

文化財専門の建築家が、

デザイン指針(いわゆるガイドライン)を用いて、

歴史地区の"デザインコントロール"を

自治体とともに行っています。

一方で、

"アルスフェルト市"のように、

文化財として"未指定"の建造物に対して、

デザインコントロールを

"行っていない"小都市もあります。。。

世界遺産を例にした場合、

建造物単体で遺産指定されることは、

ほとんどなく、

関わり合いのある"地域の建築群など"も含めて、

対象になることが多く、

場合によっては、

富岡市の地域整備でもみられたように、

その"未指定の緩衝地帯"までもを

"デザインコントロール"することさえあります。

https://nagao-atelier.com/2017/07/01/stock-38/

ではなぜ?

"アルスフェルト市"では、

"未指定"の建造物に"デザインコントロール"を

施さないのでしょうか?

ドイツヘッセン州のほぼ中央に位置する"アルスフェルド市"。

人口"約1.6万人"の小都市です。

ちなみに、

日本武道館の収容人数が、約1.5万人なので、

大体このくらいのイメージです。

丘陵地にある"市街地"が、

都市の中心部で、

現存する多くの建造物は、

1600年代-1800年代に造られたものです。

都市部での居住環境が、

良好ではなかった戦後時。

いち早く"歴史地区の再生事業"に着手し、

1960年代初頭に

最初の"都市再生計画"を行ったのが、

"アルスフェルド市"です。

当時の再生手順は、

まず、

歴史や社会状況を把握し、

建築構造と土地利用の調査などを行い、

・ 都市構造を維持するために"必要"な建築物

・ 都市構造の維持にあまり"関係のない"建築物

の二つに分類します。

そして、

あまり"関係のない"建築物のほうには、

利用の適切性が判断され、

取り壊しもありました。

このような手順による調査研究に基づき、

1967年、

議会が"都市計画案"を設定します。

当時、

人口が、約2000人ほどであった歴史地区では、

・ 古い建物を取り除き

・ 新しい建物を造る

という"再生事業"が基本でした。

具体的には、

街路に面する"表側"だけを残し、

裏側にある建物は取り壊して

新しい建物に更新する計画だったのです。

。。。つづく。