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【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。
イタリアイブレアの建築群
第二次世界大戦後の欧米諸国では、拡大した"貧富の差"とそれに伴う"社会矛盾"を緩和するため、政府による"福祉政策"が進んでいました。
いわゆる"福祉国家"です。
福祉国家とは、"社会主義"体制で社会充実を図るのではなく、"資本主義"体制を維持した状態で、"富の再分配"をし"貧富の差"を正し、国民の健康で文化的な生活を保障する国家体制のことです。
時々話題になる、割合の大きな"消費税"が掛かるのだけれども、高齢になった時、医療費がタダ。といった北欧のデンマーク、スウェーデンのような国の体制ですね。
このような福祉国家は、2000年台になる頃まで、ヨーロッパ各地で頻繁に建設されていました。
しかし、"富の再分配"による経済は、需要はあるのに品薄になり結果、品物の"値段が上昇"してしまうインフレを引き起こしやすくなってしまうため、米英国を中心として"経済競争"を重視する政策が、見直されるようになりました。
現在の日本で、消費税が少しずつ上昇しているのも、このような訳があるのですね。
さて、このようなモダニズム、第二次世界大戦、福祉国家政策など。。の20世紀。
先進国では都市部が拡大し、とても多くの建築物が造られ、人口の一極集中化が各地で起きていました。
そして、ちょうどいま、日本が戦後70年であることからも分かるように、この時代に建設された建築物は文化財指定の可能性が生じる"築後50年"頃ということになります。
同時に、モダニズム建築の主役である鉄筋コンクリート造の建築物は、築後50年で"寿命"の時期を迎えるため、"撤去"と"保存"の選択が迫られることになります。
先日、国立西洋美術館(1959年)を含めた世界中に点在する"コルビジェ"設計の建築物が、世界遺産に登録されましたが、このような理由があるのですね。
こうした中で、日常的に使用されている近代建築の"保護"に関する社会的な関心が高まってきて50-70年代にオリベッティ社が"都市開発"を主導したイタリア"イブレア"の建築群が、世界遺産の暫定候補となるのです。
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