新旧オリンピックの時代背景。
こんにちは。
長尾アトリエ の 長尾 です。
先日、新国立競技場の"あり方"が、新旧オリンピックの時代背景の変化と、
共に各メディアで比較されていました。
1964年の東京オリンピック時は、戦後復興を目標に「豊か=経済成長」と、
国民"みんな"が「ひとつ」になっていました。
一方、成熟した国土となった、今回の東京オリンピック(2020年)時では、
日常が多様化するとともに、国民の目標も「ひとつ」ではなくなりました。
20年以上前から世界中のコンペで勝ってきた"ザハ氏"ですが、
日本以外の国では、ほとんどの場合、予算はもとより「技術」が無いコトで
実現が不可能でした。
映画の舞台やアーティストのプロモーション用の舞台に使用される、
スペインのグッゲンハイム美術館(フランク・オーウェン・ゲイリー)が
「生命力の塊」
みたいな存在として街に受け入れられたように、
もしかしたら、戦後の一丸となっていた日本なら"ザハ氏"のデザインを
受け入れるコトが出来たかのもしれません。
しかし、"これから"の日本に、
象徴的なオブジェは必要ではなかったようです。
景観はもとより、
新国立競技場が未来にわたって『必要な存在』としてあり続けるために、
"既存のモノを再利用しようとする"姿勢
または
"再利用可能なように新築する"姿勢
が、今回の一連の出来事にみえる、
今(これから)の日本の姿勢のように思われます。
このような姿勢は、大きな公共施設だけではなく、
"住まい"としてより身近になりつつあります。
戦後70年-広がる"選択肢"として今、
新築マンションのローンを負担に感じるヒトなどが、
"築30年以上の中古マンション"や"一軒屋"を購入し
リノベーション(大規模改修)して"過ごす"コトも
珍しくなくなってきています。
このような場合、同じ仕様であれば
新築に比べ費用も3割ほど下げられ、
自由に改装し思い通りの住まいに出来るコトに
付加価値を感じるそうです。
また、世代や職業の異なるヒトが、同じ方法で
"住い"や"仕事場"をシェアするなど
"過ごし方"が多彩になってきています。
そして、
その舞台の中心となる、多くの"中古"の存在は、
戦後の住宅不足解消のため、
1950年の住宅金融公庫(現:住宅金融支援機構)の設立に
続き、
1955年の日本住宅公団(現:都市再生機構)の発足により
集合住宅の大量供給に拍車をかけたコトに起因します。
これが、いわゆる「団地」です。
60年代初頭などでは、
ダイニングキッチンなどの近代的な生活に憧れを抱くひとからの
応募が殺到し、倍率が100倍を超える部屋などもあったようです。
今後ともよろしくお願いいたします。
≪ 長尾アトリエ ≫ 長尾景司 ≪
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