いつもありがとうございます。必要の場をツクル設計事務所-長尾アトリエ の 長尾 です。
40分無料!7月のZoomで質問 受付中!
https://app.aitemasu.me/ev/gfrknztd6oct
台風による被害
厳島神社は、200年に1度ほど、台風による強風や高潮の被害を受け、そのたびに復旧と修復を繰り返しています。
被害をもたらす強風は、神社南に位置する弥山と駒ヶ林の谷間を降下する風速50m/s以上の南風です。
しかし、本殿などの主要な建物は、背後にある小高い丘が強風を隔てていて、大きな被害を免れています。
1991年9月-台風19号
広島県の気象台で観測された最大瞬間風速は58.9m/s。
建物の倒壊は、背後の弥山と駒ヶ林の谷間を降下した南からの強風によるもので、能舞台は下から吹き上げる風で持ち上げられ、落下して破損しました。
この時、能舞台以外にも能楽屋や門客神社など、数か所が倒壊被害をうけています。
2004年9月-台風18号
気象台で観測された最大瞬間風速60.2m/s。
神社の被害は、台風19号と同じく山の谷間を降下した南からの強風と満潮が重なって発生した高潮によるものでした。
高潮と大波により、床板は50cm程度浮き上がったことが、柱と床の摩擦による痕跡から確認できています。
さらに、高潮により舞楽の演奏を行う左楽房が倒壊し、強風により10箇所ほどの部位が破損しました。
実はこの時、1991年の台風19号の被害を教訓として、能舞台の鏡板の取り外し、床板への土嚢(どのう)設置、倒壊の可能性がある部分をロープで保持など、被害の拡大防止策が実施されていたにも関わらず起こった災害でした。
山津波(土石流)による被害
厳島神社の山津波(土石流)による被害は、主に台風がもたらす暴風雨によるものです。
山津波による被害も台風被害と同じく、200年ごとに神社南に位置する紅葉谷川と白糸川から発生しています。
両川の河床は風化して、簡単に砂となる粗い花崗岩で、河底の形状はV(U)字形のため、山津波が発生しやすい条件を満たしています。
1945年9月-枕崎台風
この日、気象台での観測では最大瞬間風速45.3msで、神社近郊の最大雨量は170mm以上でした。
台風による大雨によって、花崗岩質の川が侵食され、紅葉谷川上流で山崩れが発生し、土砂を巻き込んだ山津波となりました。
山津波は、南の弥山から押し寄せ、谷に沿って神社後方の西側裏手に流れ、建物の多くの部位が流出し、神社床には土砂が堆積しました。
また大量の淡水が直接神社に流れ込み、床下の柱が腐食します。
しかし、平安時代に平清盛が造営した際、本殿の軸から御手洗川の流路をずらしたことが功を成し、本社および客社の被害は軽微で済んだのでした。
≪ 1級建築士事務所 長尾景司アトリエ ≫ 長尾景司 ≪