いつもありがとうございます。必要の場をツクル設計事務所-長尾アトリエ の 長尾 です。
場所づくりを3Dによるビジョンの共有から始めることで、確かな結末にたどり着くためのより良い道筋が現れます。
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誤算
1890年代に入るとガウディのパトロンであったグエルからも多額の寄付があります。
しかし当初、完成を約束していた10年に達しようとしていた1892年に、発起人であり資金調達も行っていたボカベラが亡くなってしまいます。
その後、ボカベラの娘婿が継ぎますが、翌年の1893年に没し、後を追うように同年娘も没します。
このため建設を任された時、請負業者を辞めさせていたことも重なり、ガウディはひとりで設計、施工、そして、自らクライアントとなり、プロモーターとしての役割も担うこととなったのです。
もともとガウディは、作品を完成させると、そこでの失敗を顧みて、次の作品で是正するという事を繰り返した人でした。
このような性格も影響して、工事中でも変更を恐れず、すべての試行錯誤が、完成に長い年月を要することが分かっていたサグラタ・ファミリアに蓄積されていったのです。
大きな誤解
コロナの影響があり少し遅れていますが、これまでの工事は、2026年に竣工させたいという前司教の思いに応えるように、完成を急いでいたため現場での失敗を許されないままに塔はどんどん高くなりました。
サグラタ・ファミリは世界遺産に登録されていますが、実はガウディが自ら実現させた部分の「地下聖堂・アプス周壁・誕生の門」のみの登録で、残りの部分は登録外となっています。
観光客は、西日が差し込む身廊のステンドグラスの派手やかな色に感動しますが、果たしてガウディが意図した空間なのかは不明です。
そんな中、2020年以降に新しく司教となったハビエル・ビラノバは、前司教のガウディ没後100年の2026年に完成させるという意向を覆し、完成目標の年を曖昧にして、一番高いイエスの塔の建設を急がせることを止めています。
1891年当時、ガウディはグエルからの莫大な寄付を受けた時、即、建設資金にするのではなく、司教から急がされて進めていた全体計画どころか工事自体も一旦止めて、既に建設中だった「誕生の門」の設計も含め、最初から見直す作業に入っています。
今回の新しい司教の決断により、時間と失敗を蓄積して設計に臨んでいたガウディのデザイン手法が、取り戻せる可能性がでてきたのかもしれません。
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