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【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。
IBAエムシャーパーク構想
ドイツの伝統的な"まちづくり手法"による"IBAエムシャーパーク構想"。
その目的は、ドイツ北西部に位置するこの地域が"重工業産業"により受けた、汚染被害を取り除き、"工業地域"の中で生活する住人の、
- 社会人としての権利
- ヒトとしての権利
を取り戻すコトにあります。
つまり、"産業の再生"をも目的とする"社会的な取り組み"ということです。ちょうど、現在の豊洲問題(築地移転)での"環境"と似たような状態だと思います。具体的な対策としては、まず、
1.景観の修正として。
- 緑地帯の再生
- 河川地域の環境改善
- 歴史的遺産の保全活用
2.住む・働く"場所の修正として。
- 住宅地を中心に再生
- 産業パークの整備
の"2つ"を大きな目的としています。特徴的なのが、衰退した"重工業"から"多様な新産業"への転換がいそがれる中、まずは、"住環境の改善"が中心ということです。
これもまた、食の安全(=ヒトの生活)が問われている豊洲問題にとても良く似ています。
そしてこの問題で、大きく舵を取っているのは、東京都であるのに対しドイツ"IBAエムシャーパーク構想"では、"IBAエムシャーパーク社"という会社が担っています。
この会社、1989年に、政府の全額出資(資本金:約3500万円)で、設立された"民間組織"なのですが、その特徴が、10年間という"時間制限"がある組織というコトなのです。
組織を"行政内"に置かず、民間組織としたのは、
- 組織としての"柔軟性"や"迅速な対応"
- 10年間で任務を"終了"
- 資金に"民間投資しやすい"
などのためです。またその任務とは、
- プロジェクト発掘
- プロジェクトの具体的課題の設定
- 国際コンペの運営
- 全体計画と各事業との調整
- 広報
など全体の取りまとめ業務のほとんどを、たった"40人"程の社員で行っています。このような方法は、いまでこそ、IT技術の発達で、とても身近な"新しい働き方"となっていますが、重要なプロセスを飛ばして、問題解決してしまった豊洲問題とは、真逆の立ち位置であることが読み取れます。
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