いつもありがとうございます。【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。

家の材料

中国北部を流れる黄河の上流から中流にかけて広がる"黄土(こうど)高原"。

この地域には、雨がほとんど降らず、季節や昼夜での"温度差"が大きいため、建物の材料になる樹木が育ちにくい土地なのです。

このため、木材などを出来るだけ使用しない"土中の家"、通称"ヤオトン"をつくることとなるのでした。

ヤオトンには、地形によっていくつかのカタチがあります。

崖のあるところでは、幅と天井高が3mほど、奥行きが10mほどの横穴を掘ってつくる洞穴型構造のもので、"カオヤー式"と呼ばれています。

平らな台地が広がる地域によく見られるのが、"下沈(シャーチェン)式"と呼ばれる地面を掘ってつくられる地下住居です。

この"下沈式"ヤオトンは、まず、平らな地面に約10m四方で、深さ6mほどの四角い縦穴を堀ります。

そうして出来た地下の4つの面は、かならず、東西南北に面するようになっています。

この四角い縦穴が、家の中庭です。

中庭の外側に、スロープや階段を設けて、地上と地下を行き来し、四角い縦穴の四つの面に横穴を掘って部屋をつくることで、家が完成します。

横穴の各部屋は、日当たりのよい北の面が年長者の部屋で、東西の面に子世帯の家族の部屋や台所が配置されます。

日当たりの悪い南の面には、家畜小屋や便所として使用されます。

年齢や方位によって部屋がわり当てられるのは、年長者をうやまう"儒教"の考え方に影響を受けていると言われています。

東西で違う家のつくり

黄土高原では、西部と比べて東部の方が温暖で、比較的雨が多く降ります。

このため東部では、地下4面の壁には焼レンガを貼り付け、4つの壁の上部に、水切り用の瓦製の庇を設置しています。

これに対して西部では、雨よけの瓦製の庇はなく、壁面は麦わらを混ぜた黄土の土壁となっています。

≪ 1級建築士事務所 長尾景司アトリエ ≫ 長尾景司 ≪ 


youtubeチャンネル
モデリングの活用方法
つくば市中ノ条プロジェクト
これからの家とまちなみプロジェクト