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洞窟の家
アジアとヨーロッパの境界に位置する国、トルコ。
古くから東洋と西洋の文明が行き交う場所として栄えてきました。
約1000万年前に始まったとされるトルコ中心部のアナトリア高原の火山によって出来た台地が、世界遺産カッパドキアです。
この地は、何万年もの長い年月にわたって、雨水や風などによって削られ、"妖精の煙突"と呼ばれる不思議なカタチをした岩が並び立つ、独特な景観が生まれたのです。
そして、不思議なカタチをした岩の中につくられたのが、洞窟の家です。
紀元前3000年頃からヒトは、この洞窟の家で暮らしてきました。
洞窟の構造
明確な時期は分かっていませんが、現在のトルコ首都、スタンブールあたりを中心に、4世紀~15世紀中頃までの長期間栄華を誇っていた帝国時代があります。
ビザンティンと呼ばれる時代です。
成熟した文化と強大な力を持っていたビザンティン時代には、俗世間から逃れて修業するためにカッパドキアにキリスト教の修道僧たちが移り住むようになりました。
そして、当時、敵対していたアラビア軍やペルシア軍による侵攻から身を守るため、何層にもなる巨大な"地下都市"をつくったのです。
ありの巣のような内部には、礼拝堂や炊事場などいくつもの部屋があり、それぞれをつなぐ狭い廊下には、外敵の侵入を防ぐ石のふたが置かれました。
また住居には、どんな状況になっても逃げ道を確保できるように2つ以上の出口が設けられていました。
過去最大の地下都市
市の住宅建設プロジェクトを行っていた2013年。
低所得者向け住宅を解体していた作業員たちが、地下への入り口を発見したのですが、その先にはトンネルと部屋が網の目のようにつながっていました。
市はプロジェクトを中止すると、考古学者や地球物理学者による調査を開始し、2014年に、居住空間や調理場、ワイン醸造所、礼拝堂、階段などから成る多層構造の地下都市を発見します。
丘に建つ城の地下に発見され、発掘調査はまだ一部ですが、その規模と構造はこれまで最大とされてきたデリンクユの地下都市を上回るとみられています。
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