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【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。
ないないづくしの街づくり
9年間に及ぶ"準備期間"を終え、1999年、IBAエムシャーパーク構想の"国際建設展覧会フィナーレ"が、開催されました。
面白い言い回しなのですが、フィナーレといっても万国博覧会のように、その後、建物などが撤去されるのではなく、施設やインフラの整備が終了し、ここから"街の運営"が本格化し、日常生活が始まるということなのです。
従来からの日本の街づくりは、まずここが、住宅地、商業地、教育地域、自然保存地区などと区分けし、大体、コノくらいの大きさの施設や住宅を配置する。。。と決めていき、マスタープラン(=着地点)として完成予想図を目で見えるようにするのが一般的です。
しかし、この地域の再生では、完成予定図をつくら"ない"というコトが特徴的だったのです。さらに、整備するにあたり、
- 特別な法律が"ない"まま運営し、
- 特別な予算も"ない"まま建設され、
会場に指定された地方自治体には、この展覧会に
- 参加の義務も"ない"
のです。
文字通り"ない"のです。最近では、選挙の時にも"マニフェスト"を公約として目で見えるようにします。ヒトは、
- 理解できないコト
- 見えないコト
に"不安"を覚えるからです。では、なぜ?なにも"ない"のか。
実は、当たり前のことなのですが、政治家のように"任期"が決まっていて、その"期間中"に"公約"を実現するのとは違い、街、地域での日常には、期限はなく"流動的"だからです。
マスタープランの完成直前に"方針"が見直され、完成と同時に"修正"が加えられることも多々あります。
正しくチェックしても"街のあり方"の方が、変わってしまうということです。
そのため"ない"のです。
多くの場合、水面下での調整後、予算ありきからプロジェクト(事業)は始まっていきますが、この地域は、"本当に再生が必要な場所"なので、一般的に水面下で行われている、
- 方針決定。
- 事業費用の予想と決定。
- 事業費を誰が出すのか。
などまでも"プロジェクト"にしてしまい、予算ありき、からの脱却に成功しました。特別なものが"ない"のは、日常の延長に必要"ない"。
無ければそれにこしたことは"ない"からなのです。
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