いつもありがとうございます。必要の場をツクル設計事務所-長尾アトリエ の 長尾 です。
場所づくりを3Dによるビジョンの共有から始めることで、確かな結末にたどり着くためのより良い道筋が現れます。
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アテネの地形
そもそもギリシャの首都アテネは、世界最古の都市のひとつでもあるため街には、古代ギリシアの遺跡や東ローマ帝国、いわゆるビザンツ帝国時代の建物などが多数あります。
長い歴史の中での自然の隆起に加え、人の手による都市開発が加わることで、地表面が上がり、これらの建物の中には、地面に埋もれているように見えるものもあります。
過去との共存
アテネではアクロポリス博物館のように、床の一部が透明ガラスになっていて、古代の遺跡をみることができる場所が点在しています。
つまり、過去と現在が共存しているということです。
現代の日本では通常、再開発される場所の建築は壊され、同じ場所に別々の意味をもつ2つの建築物は存在しなくなります。
このため、再開発によって歴史的価値のある建築が危機に陥ると保存の問題が発生し、その建築物の破壊や復元が検討されることになります。
批判的地域主義
一方で、アテネの都市には異なる時代のものが同時に存在する風景が点在していることも関係しているのか、二種類の「批判的地域主義」が執筆されています。
「批判的地域主義」とは簡単に言うと、世界中で均一化された建築デザインが主流だが、その土地の文化や気候も大事にしよう!といった感じです。
二種類の内のひとつが、1983年に構想されたケネス・フランプトン(イギリス)によるもので、もうひとつが、1981年に構想されたギリシャ出身の建築家、アレグザンダー・ツォニスとリアーヌ・ルフェーヴル(オランダ)とが、共同で執筆しているものです。
前者のフランプトンは、例えば、安藤忠雄、アルヴァ・アアルトなどのようにヨーロッパ以外のエリアでの建築物を事例とし、モダニズム建築をベースに、その場所の地域性や文脈をとり入れたものを高く評価しています。
一方、後者のツォニス+ルフェーヴルは、スイス、スペインから事例を挙けています。
例えば、ラファエル・モネオ設計によるメリダ(スペイン)の国立古代ローマ博物館(1986年) 。
この建築物、古代ローマの建設技術を模したアーチなどによって伝統を表現しながらも、近代建築によって広まったグリッドパターンと、地下の遺跡の配置がズレることで、違和感を発生させています。
つまり、過去の配置に合わせるのではなく、ズレが伴うことで衝突が起き、互いにその属性を強化するという作用につながるとしています。
つまりツォニス+ルフェーヴルは、現代建築が場所を選ばず均一化していくことに対し、それぞれの土地や文化に根ざした建築を評価しているということです。
ただし、歴史や文化などの過去の様式をそのまま模倣するのではなく、現代の技術や思想を取り入れながら、地域の特性を活かすことに注目するべきだとしています。
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