いつもありがとうございます。必要の場をツクル設計事務所-長尾アトリエ の 長尾 です。
花と緑の経済効果
建築に付随する構造物やオブジェには、金属や石といった素材が使われることが多い。
しかし近年では、一本の松や桜といった「樹そのものの美しさ」に価値を見出す考え方が注目されています。
一本の木が育ってきた時間や背景には、それ自体が持つ歴史があります。
その存在を引き立てるために照明や演出を加えることで、空間は単なる造形物ではなく、物語性を帯びた場へと変化していきます。
さらに植物には、季節ごとに異なる表情があり、春には桜、梅雨には紫陽花、夏にはひまわり、秋には紅葉と。
このような変化は、日本の四季を体感させるだけでなく、人が集まるきっかけにもなります。
金属や石のオブジェが常に同じ姿を保つのに対し、植物は時間とともに変化し続ける。
その「変化」が、人を引き寄せ、交流を生み、結果として経済効果へとつながっていきます。
スティンガーデンの試み
2013年に都内のホテルで、ランドスケープデザインのプロジェクトが行われました。
対象となったのは、1階ロビー奥にあるプール空間。
この空間では、既存のプール防水を活かして小川を設け、擬岩による滝を構成。
都市の中心で里山の風景を感じられる空間が創出されました。
また、蛍の季節や紫陽花の時期、秋の紅葉に合わせたイベントやメニュー展開も行われ、自然と連動した体験型の空間として、集客にも貢献してます。
三原庭園
長崎県長崎市三原地区。
かつては山や畑が広がっていたこの地域も、現在では人口減少と高齢化の影響を受け、空き家が増加しています。
長崎市は山が多く、斜面地に住宅が並ぶ独特の景観を持っていますが、その地形のために現在では住環境としての課題も抱えることとなっています。
このような背景の中で生まれたのが「三原庭園」です。
もともとアパートが建っていた土地を活用し庭園や茶室を整備し、さらに山羊小屋や貸し農園、盆栽の圃場などを加え、段階的に空間が拡張されました。
結果として、地域の自然と景観を活かした複合的な場が形成され、段々畑だった土地は、花と緑によって人が集まる場所へと変化しました。
さらに、この庭園をきっかけに長崎へ移住した人もいるそうです。
