宮原眼科と第四信用合作社
いつもありがとうございます。
【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。
原発事故など、天災の二次災害が解決しない"地域"、
市場の変化に伴い、スラム化した"街"、
など、
還りたくても"還れない場所"があります。
社会的貢献投資(ソーシャル・インパクト・ボンド)には、
地域再生という"意味"以上に、
その場所に"還る"。
という役割があります。
突然ですが、"宮原眼科"と聞いて、
どんな"場所"を想像しますか?
多くのヒトが、"眼の病院"を連想すると思います。
しかし、
台湾亜台中市にあるこの"眼科"は、
地元の"菓子メーカー"が運営するお店なのです。
ということは、
アイス や ケーキが、食べられます。
台中駅周辺は、
古き良き"日本統治時代"の建築物が残る地域なのですが、
商業地域が"郊外"へ移動し、
荒廃の一途を たどっていました。
そんな時、
この場所に"価値"を見出したのが、
地元の菓子メーカー"日出グループ"です。
彼らがこの地域を、
"還る"ことができる
"グルメ文化"の発信地として"再生"しました。
再生過程で、注目したのが、
廃墟となっていた"病院(眼科)"という訳です。
この場所、1927年に
日本人の 宮原医師 が、駅前に開院した眼科です。
戦後、
宮原医師は、日本へ帰国し、
"衛生院"として"再利用"された後、
閉鎖され、
数十年の間、建物のみが残されていました。
数年前から、
日出グループが"宮原眼科"の改装と、
新イメージの商品を開発してきました。
1900年代初頭の賑わいを想像させる、
重厚な 2階建ての建物。
"美しい回廊"の側、正面玄関に、
"赤レンガのアーチ"があります。
この店舗のテーマにあわせた、
"制服"と"内装"により
あの"魔法使いの映画"を連想させるほどの世界観のようです。
その後、
第四信用合作社(銀行)も再生されました。
昔、病院や銀行だった場所で、アイスを食べる。
米ボルティモアの例もそうであったように、
なんらかの理由により
"還る"ことができなくなった"街"に、
"還る"ことができる場所を再建するには、
まずは"地域全体を。。"と考えがちですが、
時に、
たった"1箇所"に注ぎ込む"情熱"が、
思いもよらない効果を生じさせることがあります。