近代建築のあつかい方
いつもありがとうございます。
【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。
世界各国の保護活動に学び、
日本でも、
近代建築物の"保存活用"が始まっています。
前回最後に、途中となってしまった、
前川國男さん設計の
京都会館(1960年開館)再生整備。
ちなみに、前川さん。
先日、
世界遺産登録になった"コルビュジェ"設計、
上野"国立西洋美術館"の実施設計を担当しています。
担当どころか、
日本人では数少ない"コルビュジェの弟子"です。
1905年生まれ。
ということからも分かるように、
モダニズム建築の"ど真ん中"にいたヒトなのです。。
その前川さん設計の京都会館。
京都府所有の施設なのですが、
改築計画が浮上すると、遺跡の保護団体は、
・文化財としての価値に対して取り返しのつかない害を及ぼす
・美と調和を破壊する
として、市に意見したのですが、
京都市は
・ 建物の形状がホールとしての機能を低下させている
・ 修理ではデザイン性・機能性とも要求を満たせない
・ 委員会の意見を取り入れた上で「改築」を行う
として、
メインホールの"解体"と
既存の部分の"耐震改修"を行いました。
色々な 意見交換や対立があったと思いますが、
"ここ"が、
関係者間の"妥協点"だったのだと思います。
ただ、
イブレアでの"保存活用"を参考にした場合、
改築前後のプロセスを、
多方面の視点から"詳細に記録"しておくことが、
大事になってきそうです。
また、
建て直し進行中の"新国立競技場などは、
「どのように持続していくか。。」といったような、
"未来に向けた保存活用"の検討も、
これからの"近代建築のあり方"にとって、
とても大事になってくるように思います。
さて一般的に、
その街の"文化遺産"には、
その街の"再生・活性化"のための
役割が期待されます。
しかし、京都会館(1960年)のような
"戦後"の近代建築を
保存活用しようとする関心は、
東京駅(1914年)に始まる、丸の内周辺の重厚な
"戦前"の"それ"より、
かなりトーンダウンしてしまいます。
それは、
ヒトでもモノでも、現存している場合、
古ければ古いほど"価値がある"との
風潮もあると思うのですが、
前川さんなどが"定着させた"戦後の近代建築の"つくり方"は、
明らかに、
戦前の"つくり方"に比べて"思考が柔軟"になった分、
事情を知らないヒトの目には、
戦前のそれより、
薄っぺらく見えてしまうこともあるようです。。。つづく
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