いつもありがとうございます。【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。

北極海沿岸の気候、イヌイットの生活

カナダの北極海沿岸からグリーンランドに広がる"ツンドラ地帯"には、エスキモーであるイヌイットと呼ばれる先住民族が暮らしています。

樹木が生育できる"森林限界"より北に位置するこの地域は、広大な永久凍土の広がる一年中寒冷な気候です。

イヌイットは、世界で最も寒いところに住む人々ということです。

この地域は氷と雪におおわれ、植物が育たず、農耕ができません。

そのため、カヤックやイヌぞりを使い移動しながら、魚やアザラシなどの海獣を捕って生活をします。

アザラシを捕るのは食べ物としてだけでなく、油を燃料に、毛皮は服や靴として使うためです。

また、トナカイの遊牧も行い、その肉は土鍋で煮るか、ナイフで細かく切って生で食べます。

植物性の食料は野イチゴなどに限られ、サケやマスなどの燻製やアザラシの脂肪などを保存食にしています。

雪の家(イグルー)の特徴

イヌイットはアザラシ猟をするため、数日ごとに移動します。

その時につくられるのが、イグルーという雪の家で、スノーハウスとも呼ばれ、この地域で使用されています。

もともとイヌイットは、革製のテントに住み、魚や獣を求めての"移動の多い"生活を送っていました。

このため、一年の内のほとんどを雪と氷に閉ざされたツンドラ地帯での暮らしの知恵から生み出された住居形態が"イグルー"なのです。

雪でつくるのは、テントごとの移動は大変であることと、木材や石などの建築材料が手に入らないからです。

仮設の住居ということもあって、時間や手間をかけずに建てることができます。

日本の「かまくら」と似た形ですが、つくり方が異なります。

イグルーは、およそ1m×0.5m、厚さ30cmほどの積雪を切り取ることから始めます。

いくつか切り取った雪のブロックを、下から順にドーム状に積み重ねて半球のドーム型に家をつくっていきます。

入口はアーチ状になっていたり、屋根が平らであったりすることもあります。

入り口と居室のドームとは、トンネルのような通路でつながれています。

複数の部屋をつくるときには、半球のドーム同士をつなげて部屋を増やすのが一般的です。

長い間、採集狩猟やトナカイの遊牧などで移動生活を行ってきたイヌイットですが、最近では一定の場所で暮らす定住化も進んでいるようです。

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