いつもありがとうございます。【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。

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中銀カプセルタワービル

1972年に竣工した中銀カプセルタワービル。

昨年、黒川紀章氏により設計されたこのカプセル型集合住宅の、解体作業が始まりました。

この建物、現在に至るまで、日本が世界に向けて発信した最も有名なマニフェストであるメタボリズム(新陳代謝)の思想を表現した作品として知られています。

カプセルごと交換することで、常に新しい状態を維持できるといった、正にSDGsを目指した建物だったのです。

さらに新橋駅から数分という立地のためアクセスしやすく、海外から建築の関係者が訪れたら、必ずで見学する場所でもありました。

解体後は、カプセルを譲り受けたいという美術館が数多くあるそうで、すでに、埼玉県立近代美術館がある公園に、野外彫刻のように、カプセルがひとつ設置されています。

シカゴやニューヨークでは重要なビルが、半世紀以上100年は残っていて、特に急いで解体の話も出ていないことを考えると、竣工から50年での解体は早過ぎるとも言われています。

一方で、一時期よく取り上げられていたスクラップ・アンド・ビルドの文化が、日本にはいまだに根付いているとも考えられます。

そしてこのような文化があったからこそ、真逆の新陳代謝を掲げるメタポリズムは登場したのだとも考えられますが、最後は、中銀カプセルタワービルそのものがなくなるという皮肉的な結果となってしまったのです。

活躍している黒川建築

1973年に建てられた長野県にある別荘、カプセルハウスK は、宿泊施設として公開されています。

1966年竣工の休暇村・伊良湖( 1966年)は、現役で活躍中です。

どちらも完成して半世紀以上ですが、優れた建築物はよく観察すると、設計時のコンセプトは十分に読みとることができます。

保管の実態

話はもとに戻って、中銀のカプセルの行き先のひとつに、2021年末に香港に誕生したヘルツォーク&ド・ムーロン設計の美術館M+が手を挙げているそうです。

この美術館、1988年に新橋駅近くに建てられた、倉俣史朗氏デザインの寿司屋きよ友をまるごと買い取り移設したり、60年代初頭に結成された前衛的建築集団アーキグラムの全アーカイプを約2.5億円で購入するなど、東アジアの核となるデザイン・ミュージアムをめざしているようです。

本来、日本がその役割を果たすのが良いのだと思いますが、残念なことに大きな美術館に建築・デザイン部門がない状態です。

2012年閣議決定のもと、日本の現代建築の資料の流出を防ぐために、国立近現代建築資料館が設立されたのですが、すでにポンピードセンターなどにどんどん収集されている現実もあります。

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