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厳島神社
日本には数少ない海洋建築物は、文字通り海に浮かぶ建築物のことで、海中展望台や海上カフェなど、様々な種類があります。
その中でも厳島神社は、日本にある最古の木造固定式海洋建築物と考えられています。
海洋建築物は一般的に、鋼製やコンクリート製として造られることが多いのですが、木造の厳島神社は、過去に何度も自然災害による被害を受けているにも関わらず、今でも造営当時の姿を残しています。
海という建物にとって不利な条件が整う場所で、さらには木を主材料として使い、なぜ現存できているのか。
立地環境
厳島神社は、神が住む島として大切にされてきた、厳島(現宮島)の北西に位置し、前面に瀬戸内海、背景に弥山を配している社寺です。
大鳥居は、干潮時には砂浜に建ち人が歩いて近づくことができますが、満潮時には海に浮かぶような景観をつくりだしていることで有名です。
神社の歴史は古く、推古天皇元年の593年に創建され、1181年に亡くなった平清盛によって、現在の姿にされたようです。
自然環境
厳島神社の前面は水深10mほどの海域ですが、満潮時と干潮時の差が4mほどと、とても大きです。
島全体の地盤は、シッカリした岩盤(花崗岩)を基礎としていて、その上の砂質層に神社は造られています。
建築概要
社殿の配置は、平安時代の貴族が好んだ住宅様式と同じ寝殿造を取り入れています。
寝殿造りとは、中央に寝殿(主人の居所)があり、その周りに各建物及び庭園が配置された、自然との調和を大事にした空間が特徴的です。
厳島神社の場合、目の前にある入江(瀬戸内海)を寝殿造の池に見立て、元々、神社の中心線上を流れていた御手洗川の流路を西にずらすことで、寝殿造と同じ配置とすることができています。
流路変更は結果として、後々の山津波から神社を守ることとなるのですが、他にも重要な役割があったようです。
川が海に流れ込む河口付近は、長い年月をかけて、川が運んできた土砂が堆積して、砂浜になりがちです。
流路を変更したことで、この場所は砂浜にならずにすみ、一方で満潮時には神社が海に浮かんでいるかのような独特な景観を現わし、海を神聖な場所として敬い自然との調和を大切にする日本人の美意識を維持しつづけているのです。
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