いつもありがとうございます。必要の場をツクル設計事務所-長尾アトリエ の 長尾 です。
場所づくりを3Dによるビジョンの共有から始めることで、確かな結末にたどり着くためのより良い道筋が現れます。
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大杉の記憶
2020年の大豪雨により、中山道の岐阜県大湫宿の大杉が倒壊します。
地域の象徴だったこの大杉の記憶をどのように伝えていくのか。
住民が中心となり「住民の心のよりどころ」「倒木した杉の存在意義」「外部とのつながり」の3つの視点での検討が始まります。
住民の心のよりどころ
まず、住民の心の「よりどころ」については、様々な分野の研究者によって価値が視覚化されました。
元々1200年といわれていた樹齢も、実際には670年ほどだったということも分かったのですが、「よりどころ」としての価値が下がることなく、研究結果についての報告会も開かれ、学術的な記録として伝えていくことができるようになりました。
倒木した杉の存在意義
次に、倒木した大杉の「存在意義」についてですが、倒木前の大杉の姿は住民の記憶に残り続けたとしても、実際に木をもとに戻すことはできません。
このため、倒木後の大杉に改めて、存在意義を与える手順が必要になります。
具体的にはまず、倒壊した杉を芸術作品、バイオリンなどの楽器、ビールの香りづけなどとして再利用します。
一方で、大杉そのモノの保存も検討されます。
方法としては、公募の公開フロホーザルにより提案を募り、結果、採用された案は、建築家と造園家のチームによる大杉の一部を象徴的に展示するものになりました。
この案により、多くの年代に受け入れられる新しい存在意義が与えられることになったのでした。
外部とのつながり
最後の「外部とのつながり」については、そもそも伝統的に行ってきたことではなく、1978年に書かれた記事では、地域住民のみで街づくりを進める強い閉鎖性が指摘されています。
いまでは閉鎖性がなくなりつつあるのですが、これは、定住する人口が減ってきていたことに関係があるようです。
まずは、この状況を改善するために、協議会が移住希望者と地域の間に入って、内外部での日常感覚のズレを調整し、安心できるような仕組みをつくることを目指します。
成果は、実際に移住希望者と地域住民が参加する街づくりのワークショッフで、双方の意見を同じように受け入れ議論されることで、認識のズレを少しづつ修正することができるようになったことからも確認ができきます。
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