いつもありがとうございます。【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。
ヴェニス憲章
第2次大戦後に、"国際連合"と"ユネスコ(教育科学文化機関)"が、連続して設立されます。
その20年後、ヴェニスにて"歴史的建造物に関わる国際会議"が開催され、遺跡の保全・修復のための国際憲章"の案が作成されました。
この"憲章"が、20世紀の文化遺産の保存理念の基礎となる、通称"ヴェニス憲章"です。
"ヴェニス憲章"は、前回の2つの"アテネ憲章"の内、最初のモノを批判的に継承したと言われておリ、その後、世界の遺産保存の中心的役割を担っていくことになります。
しかし日本で"ヴェニス憲章"が一般的に知られるのは、1992年の"世界遺産条約批准"後でした。
バラ憲章
当時"歴史的建造物"の保存のための法的・科学的対策を取り決めた"ヴェニス憲章"をもとに、各国での独自の憲章(保存方法)の作成を期待されていました。
しかし、多くの国が、なかなか独自の保存憲章を持てない中、1981年に"オーストラリアとイコモス"によりつくられた"バラ憲章"は、国別憲章の代表格です。
"バラ憲章"では、守るものを"記念建造物"から、より広い概念としての "場所"へと拡大し、歴史的に重なる多様な環境を表現する言葉として、"織りなされたもの"という概念が示されています。
恐らく、オーストラリアでは、先住民の文化に象徴されるような、モニュメントとは、全く異なる遺産の概念が必要たったのだと推測されます。
この憲章には、ヨーロッバ文化圏を超えた現代の多様な文化遺産への視点が含まれており、世界的にも大変重要な理念となっています。
マドリッド・ドキュメント
2012年。
イコモスは、20世紀の遺産が直面する問題を見据え、専門委員会により"モダニスム建築"を含む20世紀建築の保存と活用における指針を発表しました。
通称"マドリッド・ドキュメント"です。
委員会には、モダニズム建築についての"保存研究団体"に所属しているメンバーも多く、現代の幅広い建築保存の課題について、過去の保存理念を大きく超えた提言を行っています。
遺産の保存や再生に関して、断片的ではありますが、以上のようなことが、戦後から現在までの保存・再生に関する世界の動向です。
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