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必要の場をツクル設計事務所-長尾アトリエ の 長尾 です。
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全ての世代で住みやすい街を目指す、ドイツのフライブルク市"ヴォーバン"地区。
この地域には保存条例があり、地上から1メートルの高さで、幹まわりが80センチを超える木は伐採できません。
屋根勾配が10度以下の建物には、屋上緑化が義務付けられ、さらに、街を走る路面電車の専用軌道内までもが緑化されています。
このため、新興住宅地にもかかわらず、緑豊かな景観が存在します。
樹木の保存や、緑化を進めるのは、良好な景観の維持のためであることはもちろんで、地域に熱がこもる、ヒートアイランド現象の緩和や、植物に雨水を利用することでの下水処理施設の負担減などさまざまな利点があります。
これらの街全体の環境に加えヴォーバン地区の住居には、他の地域には見られない大きな特長があります。
それはすべての住居が、集合住宅であることです。
この地域では、間伐材や商品にならない木材を森でそのままチップにし、排熱をエネルギー源として給湯や暖房に供給するコージェネレーションシステムを導入しています。
各住戸へは、システムを利用して熱が供給されますが、その際、配管からの熱ロスが生じます。
集合住宅では、戸建に比べてその配管をコンパクトにすることができるため、ロスが少なく、エネルギーがより効率的に利用できます。
また建物自体の、屋根や壁、ガラスなどの仕上げ材にも断熱性能が高いものが使用され、そのツクリは、同じボリュームの戸建と比べ、外壁の面積が小さくなるため熱が逃げにくく、住い全体として暖房にかかるエネルギーが、少なくて済みます。
さらにそのデザインは、南側の壁面積の50%以上をガラス窓にし、適度な長さのひさしを付けることで、太陽高度の高い夏には陽射しを遮って室内温度を下げます。
さらに、太陽高度が下がる冬には陽射しを多く取り入れることで室内温度を上げているといった、まるで、伝統的な日本家屋のような方法で造られているのです。