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【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。
世界遺産からストック型社会を考える
各"保護遺産"の指定基準を知ることは、
ストック社会を考えることにつながりそうです。
2014年。
群馬県"富岡製糸場と絹産業遺産群"が、
世界文化遺産 に登録されるとともに、建造物の一部は、国宝 となりました。
ちなみに"国宝"の指定基準(噛み砕くと)とは。
重要文化財のうち、"良くつくられているモノ"かつ"文化的である"または"学術的に良く"かつ"歴史的に価値がある"として国が指定したモノ。
せっかくなので、"重要文化財"とは、
国内の建造物・美術工芸品・考古資料・歴史資料などの"有形文化財"のうち"歴史・芸術的"または"学術的"に価値の高いもの。
として、国が指定した有形文化財"のみ"を指すようです。
つまり、"重要文化財"の中から"国宝"は、指定される。ということです。
さらに、"登録文化財(1996年)"なるモノがあります。
この制度が創設された"理由"がとても分かりやすく、
現在の様々な"遺産保護"運動に納得がいきます。
その理由とは、
戦後、国内の急速な都市化により、近世の多種多様な建造物が、
その建築史的・文化的"意義や価値"を十分認識されないまま、
破壊された"反省"によるためです。
その反省のもと、
価値ある近代の建造物を保護するため、国で厳選し"指定する(重文)だけ"でなく、
"緩やかな規制"のもとで、保護の網をかけるコトとしたのだそうです。
つまり、重要文化財指定を"補う"ということです。整理すると
- 世界(文化)遺産 : これから知る内容。
- 国宝 : 重文の中からすごく価値あるものを国が指定。
- 重要文化財(重文) : 価値あるとして国が指定した、カタチのある文化財。
- 登録文化財 : まだ詳しくは分からないが、保護しとく対象。
以上を頭において、
現在日本には"産業遺産"として
- ・70件ほどの "重要文化財"
- 1800件を超える"登録文化財"
があります。
本格的な各遺産保護のきっかけは1990年に、
群馬・秋田から始まり、その後、
全国で展開されるようになった"近代化遺産総合調査"が原点です。
このような"出来事"から、文化遺産に内在する価値は、"過去"にあった。
ではなく"現在"にも価値が持続してある。というコトが読み取れます。
つまり、富岡製糸場と絹産業遺産群が、
世界遺産に指定された理由を"知る"ためには、
単に歴史的に古いというコトだけでなく、
時を超え、この場所・建物で、過ごしてきたヒトたちが、
"世界中のヒトたちで、共有できる価値"を積み重ねてきた内容を
"理解"する必要がありそうです。
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