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【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。
ガイドラインの必要性
オリベッティ社が関与した建築群を"遺産"として、保護する方針としたイタリア"イブレア"。
その際、
- 市民が"当事者"として、遺産の保護に参加する。
- 市民が建造物の"所有・使用者"であるという"誇り"を育む。
という方針をたて、"ガイドライン"を設置したのです。
ちなみにこの"ガイドライン"。日本では、あまり馴染みがないのですが、欧米では、よく見かけるシステムのようです。
一言で言うなら、街の"資産価値の維持"です。
空き家の増加からでも分かるように、これからの日本では、衰退していく"街"が増えていきます。
つまり、"街"が"街"として"持続できなくなる"状態です。このような時に役立つのが、"ガイドライン"ということです。
- その土地に元々ある"価値"。
- 地域に関わってきたヒトたちによって創られた"価値"。
このような"価値"を保護することで、"街"を"街"として持続させる"手助けになる。"ということなのです。
では、イブレアの場合はどうなのでしょうか。まず、建築群を保護する際、理想と現実との"妥協点"を見いだすことが、重要だと考えたようです。
この気づきはとても大事で、例えば、文化財に指定された"茅葺の家"に住むヒトたちに、その"カタチの維持"を、一方的に負担させるのではなく、関係者間で"妥協点"を決めておく。ということです。
そのため、イブレアでの"ガイドライン"では、
- 建物の使用者
- 修復工事に関わるヒト
など"関係者全て"の間での"合意形成"を目的としました。つまり、"妥協点"で"合意する"。ということです。
そして、調査活動と平行に暫定的なガイドラインを設置し、カントンベスコ地区の"集合住宅地域"で試験運用となります。
この地域、もともとは、1900年代半ばに"社宅"地域として造られたもので、12件の修復工事を行ないました。
修復の際、建物に関係する"全てのヒトたち"との対話と行ない、"外壁"の修復を中心に"保存活動"が展開されることとなりました。
その結果、ガイドラインは、遺産の保護に"有用"であると関係者は、確信することとなります。。。
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