いつもありがとうございます。【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。

尾道

海と山に囲まれ路地と坂道が織りなす尾道の景観は、映画や広告など、様々なメディアで世界に紹介され、この街を象徴するアイコン風景となっています。

一方、車社会への非対応核家族化少子高齢化による中心市街地の空洞化といった現代の社会問題を多く抱えている地域でもあります。

2000年に入った頃、特に深刻だったのは、車が入れない密集市街地で、300を超える空き家が点在し、商店街などの空き店舗を合わせると、観光マッフ中心の駅から2キロという徒歩圈内に、500軒近い空き家があるような状況でした。

所有者が高齢化したり、代替わりで街から出ていき帰ってこない場合も多く、ほとんどの空き家が適正に管理されず、車が使えない不便さと建物の古さが重なり、地域の不動産会社でも手が負えない状態になっていました。

状況

このような状況の中、尾道らしい街並みと、そこにあるコミュニティを残したいと、考える人たちが増えてきます。

開港850年である上に、戦火もくぐりぬけた歴史を持つ尾道の建物は、国宝級の寺社建築から豪商の別荘長細い町屋洋館長屋に至るまでと。。

その歴史とバラエティの多さで、まるで建物の博物館状態です。

しかし、少しづつ活動を始めてみると、街並とコミュニティを残したい人たちにとって、再生の道が困難なことが分かり始めてきます。

まず、今の建築基準法では、車で進入できない路地沿いの家は、接道要件を満たせず新築建て替えは出来ません

つまり、今の建物を大事にしていかないと、路地坂道のあの独特な街並みが消滅していくということです。

始まり

Uターンにより再生を始めたいと考えている人が増えつつある中、この頃には、地元の町内会長や地主、市役所の職員、空き家で何かし始ている人たちとのネットワークが自然と広がっていて、活動団体の基礎ができつつありました。

コミュニティ関係者が、活動の一環として自主的に、実際の空き家の再生状況尾道の空き家問題に関して、プログで発信なども行っていました。

すると、年間で100人くらいの人たちからの移住相談が舞い込むようになります。

このようなことをきっかけに、点から線に、線から面にと、尾道の再生は、従来のスクラッフ&ビルドではなく、先人が残し続けてきてくれた古い建物を直しつつその風景とコミュニティを次の世代につなげていく尾道スタイルが定着していくようになります。

そして、2007年に30人ほどで市民団体が立ち上がり、翌年NPOとして法人化を果たすこととなるのです。

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