いつもありがとうございます。【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。
お知らせをさせてください。モデリング😊に「4つのコース」を設置しました。度々ご質問がありました金額も簡潔に分かるように整理しましたので、ご興味ある方は、下記URLから入ってみて下さい。
空き建築
蚕糸(さんし)試験場とは、国の付属機関で、蚕などからとれる生糸の生産や利用に関する基礎的な研究をする場所です。
昨今、空き家問題が目につきやすいですが、山形県にある旧蚕糸試験場新庄支場は、20年前に新庄市が、国から譲り受けたものなのですが、うまく有効活用できない空き公共建築でした。
恐らく、全国には同じような公共建築が数多くあると考えられ、このような歴史ある空き公共建築を活用した街づくりも行なわれ始めています。
市民の活動
旧蚕糸試験場は、旧農林省の木造研究施設で、昭和初期に全国に設置されました。
現在、建物群と景観が残こっているのは新庄支場のみです。
2002年に市所有となった後しばらくは、部分的な貸室程度の利用に留まっていたのですが、2012年にこの施設が国の有形文化財に認定されるのと同じ頃、市民による交流拡大フロジェクトが立ち上がり、試験的に活用を始めます。
そのひとつが、旬の地元野菜や農業加工品を販売するキトキトマルシェ。
蚕糸試験場の広大な庭を舞台にし、2019年には年間約16,000人を集客するイベントに成長します。
他にも原産の杜フェスでは、伝統的な手織りでつくる新庄亀織物の展示やワークショッフを行ったり、住民の日常的な交流拠点となるカフェなども設置されます。
また、環境芸術祭が定期的に開催され、施設の歴史や風景の魅力を引きだす市民の作品を展示するなど、さまざまな取り組みが行われてきました。
このように市と市民団体が、後の施設利用の活動下地を早い段階から築いてきた効果は、とても大きいのです。
みんなで考える場
2014年に都内の大学が、新庄市からの依頼を受け、本格的な保存利活用に向けて施設全体の調査を行います。
異なる4分野の研究室が、2年間の調査分析を行い提案書を作成し、木造の魅力を最大限に生かしつつ、多様な居場所を生みだす耐震改修という方針が決まりました。
調査期間中は、市民報告会という形で市民との意見交換が提案書に反映され、2019年の街づくりシンポジウムでは、文化財建築を生かした街づくりの大切さについて理解を深められました。
そして2017年からは、提案書の案をもとに、年1棟ずつ計3棟の木造蚕室の改修設計が行なわれます。
さらに、改修工事が完了するまでのあいだ、市・大学・山形県の協力組織の共同企画により、みんなで街づくりを学び考える場が設置されたのでした。
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