いつもありがとうございます。【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。

照明デザインへの期待

電気エネルギーを利用した建築照明デザインが、アメリカ東海岸で発芽したのは1960年代です。

もちろんエジソンが"電球"発明してか100年そこそこで、それ以前の建築照明は、太陽光との闘いであり建築設計者の仕事でした。

そう考えると建築照明デザイナーの職能は、世界で60年、日本では40年ほどの浅い歴史となります。

1989年の東京タワーのライトアップデザイン以降、大きく注目されることとなった石井幹子氏。

石井氏の知名度により、かろうじて、日本でも照明デザイナーという職業が認知されるようになりましたが、未踏な分野として克服すべき課題はまだまだあり、多くのヒトが未だに照明デザインの"恩恵"を受け止めていないのです。

一般的に、明るくすることが照明の役割と思われています。

このため、光と影による心身への影響に反し、刺激的で気を引くだけの照明デザインの多くなります。

太陽の光、月のあかり、闇の大切さ、白熱ランプへの感謝に、学ぶことを忘れて、LEDの強烈な眩しさ、鮮やかに変化する演出光に一憂します。

このような現象は、一時期ポストモダン呼ばれた時期に、夢の国から抜け出したキャラクターが、街のなかに点在していたことにも似ているような気がします。

今、多くの場合で、LEDやIT技術の急速な発展に巻き込まれているため、照明デザインに期待される役割を今一度見直す時期なのかもしれません。

照明デザイナー

照明デザイナーの活躍を必要とする領域があります。

その理由は、照明デザインを丁寧に行なおうとすると、施工現場に頻繁に足を運ぶ、手間ヒマを必要とする仕事だからです。

どのような職種でも同じだと思いますが、この手間を軽んじていて最高の結果につながることはありません。

安藤忠雄氏の"光の教会"に、"思う・感じる"ことは多いと思いますが、照明デザインは先ず、自然光と闇によるデザインに、真実があるような気もします。

時にデザインという仕事には、時代の先端を示すことが求められます。

その中でも、歴史の浅い照明デザインの世界では、新光源と制御があります。

新光源としてのLEDですが、近い将来に"レーザー"が期待されています。

制御の世界は更に急速にAI化が進み、色温度調光、センサー、10T、 SMARTという技術分野に拡散しつつあります。

デザインとは日常を今以上に豊かにすることのため、技術の発達には感謝ですが、一方で、合理主義に乗った新技術に、日常が翻弄されることは避けたいところです。

なぜなら、新しいことや便利なことだけが価値ではないからです。

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