ドイツヘッセン州の小都市
いつもありがとうございます。
【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。
ドイツに限らず、
文化財として"指定された建造物"に関しては、
それに係る"未指定の"緩衝地域"まで
専門家が関与しながら、
デザインコントロールされるのが一般的です。
例えば、
ドイツヘッセン州の小都市"ビューディンゲン市"。
ここでは、
自治体が選任するハウスドクターが、
歴史地区の"全体計画"を描き、
地域住民の"新築・改築相談"に対応する。。
という"デザインコントロール"を行っています。
また、
同州の小都市"ゼーリゲンシュタット市"では、
文化財専門の建築家が、
デザイン指針(いわゆるガイドライン)を用いて、
歴史地区の"デザインコントロール"を
自治体とともに行っています。
一方で、
"アルスフェルト市"のように、
文化財として"未指定"の建造物に対して、
デザインコントロールを
"行っていない"小都市もあります。。。
世界遺産を例にした場合、
建造物単体で遺産指定されることは、
ほとんどなく、
関わり合いのある"地域の建築群など"も含めて、
対象になることが多く、
場合によっては、
富岡市の地域整備でもみられたように、
その"未指定の緩衝地帯"までもを
"デザインコントロール"することさえあります。
ではなぜ?
"アルスフェルト市"では、
"未指定"の建造物に"デザインコントロール"を
施さないのでしょうか?
ドイツヘッセン州のほぼ中央に位置する"アルスフェルド市"。
人口"約1.6万人"の小都市です。
ちなみに、
日本武道館の収容人数が、約1.5万人なので、
大体このくらいのイメージです。
丘陵地にある"市街地"が、
都市の中心部で、
現存する多くの建造物は、
1600年代-1800年代に造られたものです。
都市部での居住環境が、
良好ではなかった戦後時。
いち早く"歴史地区の再生事業"に着手し、
1960年代初頭に
最初の"都市再生計画"を行ったのが、
"アルスフェルド市"です。
当時の再生手順は、
まず、
歴史や社会状況を把握し、
建築構造と土地利用の調査などを行い、
・ 都市構造を維持するために"必要"な建築物
・ 都市構造の維持にあまり"関係のない"建築物
の二つに分類します。
そして、
あまり"関係のない"建築物のほうには、
利用の適切性が判断され、
取り壊しもありました。
このような手順による調査研究に基づき、
1967年、
議会が"都市計画案"を設定します。
当時、
人口が、約2000人ほどであった歴史地区では、
・ 古い建物を取り除き
・ 新しい建物を造る
という"再生事業"が基本でした。
具体的には、
街路に面する"表側"だけを残し、
裏側にある建物は取り壊して
新しい建物に更新する計画だったのです。
。。。つづく。