いつもありがとうございます。【必要の場をツクル設計事務所】-長尾アトリエ の 長尾 です。
傾いてしまった分譲マンションからみる社会のシワ。
支持地盤まで杭がとどかず傾いてしまった分譲マンションが、報道されています。
ボーリングデータの改ざんなど、明らかな"耐震偽装"なのですが、供給側は、着地点が"よく見えない"ながら"ひとりの担当者の責任"という『カタチ』をつくり、"担当者が関わった、他の物件も再調査"という『カタチ』で収束しようとしています。
報道を見る側は、『そんな訳ないだろっ!』っと、気づいています。。
今まで、対象敷地"隣地のボーリングデータ"をもとに、『基礎設計依頼』や『基礎設計』してきた『地盤調査の重要性を理解していない様々な立場の多くのヒトたち』は、自分の"担当物件が傾かなくて良かった"と胸を撫でおろしています。
連日、似たような"責任ゴト"が起こります。報道されている新築マンションを購入された方々は、大変お気の毒なのですが、今回は"自殺者"がでないコトを願います。
ドコかに"シワよせ"が生じるのが、社会システムの"常"ですが、このような件に関しては、そろそろその"シワ"をのばしてよ~く観察し、『解決の糸口』をみんなで考え、"発言権"のある企業や個人が"動いていく"コトが必要なのではと思います。
北欧の"社会保障システム"に学ぶ、"増税"なども『解決の糸口』のひとつであると思いますが、もはや"政治"だけでは、その"シワの数"を減らすコトは出来なくなってきています。
そもそも、供給側と需要側、両者にもたらされた、今回(現在)のような『結果』は、戦後復興時からの『住宅すごろく』なる"物語"から始まりました。
『住宅すごろく』とは、60年代から70年代にかけて、
- 『賃貸アパート(団地)』を振り出しに、
- 『分譲マンション』を経て、
- 最後は、郊外に『庭付き一戸建て』を買って
"上がり"という"神話"です。
そして、現在この"神話”自体が、忘れ去られようとする中、供給過剰により全国で"空き家"が問題になり、『多様化する日常スタイル』を許容するコトと空き家などの『建物を再生』させるコトが融合し、『みかんハウス』なる、全9戸・キッチン・トイレ・浴室を共用するシェアハウスなどの"新しい日常"が生み出され始めています。
当初、シェアハウスは、若者向けが主流だったのですが、今では、"多世代が住めるもの"や"シングルマザー向け"のモノなども、必要とされています。
このような出来事は、"既存のモノを再利用しようとする"または"再利用可能なように新築する"という、今(これから)の日本にとって、とても大事な"姿勢"のひとつです。
しかし、市場の動きを大きく捉えた場合、多様化する日常とは"平行"に"神話"の時代と同じ方法によって、今でも、当時と"同じ大きさ""同じ間取り"で、住まいを"合理的"に供給しようとする姿勢が存在しているのも事実です。
『住宅すごろく』の"上がり神話"が消滅して30年以上経ちますが"カタチ"だけを大事にし続けると、不要な"シワ"を取り除くことが難しくなるのかもしれません。。
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